マックスバリュ北海道(本社・札幌市中央区)が、10月から承継した帯広・十勝圏の食品スーパー「いちまる」の売上げ確保に腐心している。10月は前年比70%台、11月は同80%台で前年の売上げを維持するまでに至っていない。12月の歳末商戦でどこまで売上げを伸ばせるかによって戦略変更も考えられそうだ。(写真は、「プラザ。いちまる池田店」=中川郡池田町)
マックスバリュ北海道は、2013年10月の「いちまる」への40%参加を経て、今年10月1日に「いちまる」が帯広市など十勝圏で営業する全14店舗を取得、従業員を含めてマックスバリュ北海道の直営店舗に組みいれた。
店舗名はいずれ「マックスバリュ」に変更する予定だが、地元で馴染みのある「いちまる」のストアネームを引き続き使用、店舗改装の機会に名称変更する考え。
マックスバリュ北海道の毎月の売上高は、平均すると前年比5%増で堅調に伸びており、成長性は道内の食品スーパーでトップクラス。こうした同社の実績をベースにした店舗オペレーションやMD(マーチャンダイジング・販売政策)を導入すれば、「いちまる」承継もスムーズにいくと見られていたが、大苦戦を続けている。
その理由のひとつは、承継に伴って生鮮センターを廃止、精肉や水産などを外部の業者から調達するとともに鮮度が要求される商品については各店舗のバックヤードで調理するインストアに切り替えたことによる反動。刺身や生魚の切り身、巻物や丼物などをジャストインタイムで店頭に出す習熟度が十分でないことの影響が出ている。
また、十勝商法とも呼ばれる独特の商習慣による影響も大きい。十勝ではチラシがひと月当たり18回程度もあって特売日とそうでない日との売上げ差が大きいと言われる。また、ポイントの倍率を上げる頻度も札幌圏に比べて多い。
マックスバリュ北海道は、承継に伴って同社のスタンダードなMDに切り替えたが、そのことによって顧客への訴求力が低下、苦戦を強いられる結果になっているようだ。
同社は、9月にダイエーの食品スーパー「グルメシティ」5店舗と「ダイエー札幌円山店」の計6店舗を承継、ダイエーが続けてきた「木曜市」からマックスバリュ北海道の「火曜市」に切り替えるなどMDを変更。これによって一時的に売上げを落としたが、11月からは前年並みの水準に戻している。
承継した「いちまる」の売上げを前年並みにするのは、ダイエー以上にハードルが高いようで、“売り”が十分に取れないため早いうちに予定していた1店舗の改装を延期するなど計画とのズレも顕在化してきた。
食品スーパーの一番の書き入れ時である12月商戦の動向によっては大幅な戦略転換も考えられそうだ。