北海道銀行の堰八義博頭取が道銀始まって以来の頭取最長不倒期間を更新する勢いだ。堰八さんが道銀頭取に就任して今年6月で満7年、金融関係者の間では「堰八頭取はまだ55歳。あと10年は頭取を続けても不思議ではない」という声がもっぱら。
能力、人気とも内外から高い評価があるがアキレス腱があるとすれば、それはポスト堰八の人材づくり。次を担う人材が見えてこないのが道銀のある意味で悩みでもある。
道銀初のプロパー頭取、堰八さんの後任は再び旧大蔵省(現財務省)からということもなくなはない。道銀がこのままの純化路線を続けていくのか、官僚天下りに再び軌道修正するのか、堰八頭取の今後3年間で方向性が見えてくるというのが大方の見方だ。
堰八さんは、1955年5月26日生まれ。札幌市出身で旭丘高から79年3月に法政大経営を卒業、同年4月に道銀に入行した。02年代表取締役執行役員に就任し、03年6月に代表取締役頭取に付いている。
ここで、道銀の歴代頭取の在任期間を改めて振り返っておく。
初代の島本融頭取は昭和26年3月~昭和40年5月 在任期間14年 2ヵ月
2代の藤野重夫頭取は昭和40年5月~昭和42年11月 在任期間2 年6ヵ月
3代の森鼻武芳頭取は昭和42年11月~昭和59年6月 在任期間1 6年8ヵ月
4代の堀寛頭取は昭和59年6月~平成4年6月 在任期間8年
5代の藤田恒郎頭取は平成4年6月~平成15年6月 在任期間11年
6代の堰八義博頭取は平成15年6月~
このうち2代の藤野さんと現在の堰八さん以外はすべて大蔵省OBである。藤野さんは、朝鮮銀行出身で初代の島本さんと京大の同窓で親交があったため島本さんが頭取に引っ張った人物。
こう見てくると、道銀の歴代頭取はいずれも長期政権だということが分かる。これまでで最も頭取在任期間が長いのは、3代の森鼻さんで16年8ヵ月。
「大蔵から堀さんが来て副頭取になっても森鼻さんはまだ頭取を続けるつもりだったそうだ。ある人が進言しなかった堀さんの頭取就任はもっと遅れていたかも知れない」という一部関係者の声もある。
堰八頭取の55歳という年齢は、多くの銀行で取締役に就任するかどうかの年齢。取引先のトップは殆どが堰八頭取よりも年上だ。若輩というハンディを堰八頭取はこれまで持ち前の行動力と人間性でカバーしてきたと言っても良い。
仮に後10年間頭取を務めるとしても65歳。その年齢でも引退には早いかも知れない。
ただ、現時点ではポスト堰八の姿は見えてこない。森鼻さんの16年8ヵ月間を越えるには後10年が必要だ。プロパー頭取として道銀歴代頭取の最長記録を塗り替えることは道銀の歴史にあたらなページを加えることになる。そのためにも後継の発掘と育成が堰八頭取の最大眼目になってくるだろう。