秋元克広札幌市長の連合後援会である「さっぽろの未来をつなぐ市民の会」は30日、札幌市中央区の札幌パークホテルで「秋元克広のさっぽろ未来セミナー」を開催した。秋元市政が誕生して半年、初のセミナーで秋元市長は今後5年間に取り組むアクションプランを披露、会場には支援した民主党や連合の関係者など約700人が参加して熱心に聞き入った。(写真は、挨拶する連合後援会共同代表の加藤欽也氏。右は秋元克広夫妻)
セミナーは、第一部と二部に分かれ、第一部では元STVアナウンサーで現在、慶応大大学院SDM研究科特任教授、北大大学院農学研究科客員教授の林美香子氏が『食と農による地域づくり~道内連携の大切さ』と題して講演。林氏は、市長政策室の道内連携ラウンドテーブル委員を務めており、そのこともあって今回のセミナーで講演することになった。
道内の『農都共生』による地域活性事例や食をテーマにしたミラノ万博を訪れてイタリア各地を視察した報告を行い、「食と農は文化や音楽など他分野との連携でもっと魅力が増す。この視点はとても重要」と語った。
第二部では、最初に連合後援会共同代表の加藤欽也昭和交通代表取締役が登壇。「秋元さんは連休明けに初登庁されて半年が経ったが、推薦いただいた民主党、連合などの方々から『良い市長で良かった』と言われる。また、普段は保守系支持の経済人からも『素晴らしい市長が誕生した』と言われる。秋元さんはしっかりとした足取りで市政運営している」と挨拶した。
(写真は、秋元氏)
続いて秋元市長が市政報告と題して、自らパワーポイントを使って市長選で公約したアクションプランに付いて報告。人口減少という時代の転換点を迎える札幌で経済活性化や子育て世代の応援、誰もが活躍できる環境整備、世界都市としての魅力向上などを進める具体策を示した。
札幌冬季オリンピック・パラリンピック誘致について、「招致の大きなファクターは住民がどれだけ望むのか、支持するのかということ。2022年開催で北京が誘致に成功したのも市民の8割が支持したことが大きかった。招致に向けて機運醸成に努めたい」と述べた。
秋元氏は、今後5年間(任期は4年だが5年目の骨格予算も含むため)で政策的経費として1兆3257億円を計上することを示し、「全体の財政状態をしっかりと見て5年間の計画を策定した。今までは財源の見通しがたたないということもあって計画の裏付けとなる財源を出さない場合が多かったが、私は財政状況に合わせながらいろんな事業をやっていくことで実行性を担保する」と話した。
そのうえで、「明治の開拓期、札幌オリンピック開催で札幌のマチは大きく飛躍した。これからのマチづくりは人口減少に対応すべくリニューアルをしていかなければならない。30年先、50年先の新しい時代に対応するため札幌を変えていくチャンスだと私は思っている」と締めくくった。
最後に、連合講演会共同代表の紫藤正行大黒自工代表取締役が「後援会は全力を挙げて秋元市長を応援していく。皆様方のご支援もお願いしたい」と閉会の挨拶をして散会した。
(写真は、連合講演会共同代表の紫藤正行氏)
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秋元市長が誕生して半年、副市長時代と印象は大きく変わった。市政報告の合間にもユーモアを散りばめるなど余裕が見られ、本来の秋元カラーとはこういうものではないかという片鱗が見えた。アクションプランそのものは、大向こうを唸らせるような派手さはないが、地味で確実という印象。5年後、10年後にサッポロが大きく変わり住み良い街を実感できるのではないかという期待感を抱かせる。また、民主、連合の推薦を受けたものの政策は保守層にも支持を受けるような中身になっている。選挙期間中から秋元氏が標榜した市民党を体現したような形だ。まだ走り始めたばかりの秋元市政だが、早くも安定感が見え始めてきたようだ。