心理カウンセリングやカウンセラー派遣、カウンセラー養成などの事業を行っているナチュラルハート(本社・札幌市)代表取締役の神田裕子さんは、来春に東京へ拠点を移すことを考えている。神田さんは、現在札幌を拠点に東京と熊本で事業を行っているが、東京に拠点を移すことでカウンセリングと保育を組み合わせた新たな事業を始める考えだ。
神田さんが東京に拠点を移そうと考えているのは、北海道の元気のなさも一つの動機。「私たちの時代は、人のやらないことをやろうという人が多かったし、私もメンタルヘルスで一番になろうと事業を始めた。今の若い世代は元気の良さがないし、新しいことにチャレンジしなくなった」と不満気味。
神田さんは会社勤めをわずかの期間経験したものの、カウンセリング資格を取ってからは専門学校の講師を掛け持ちしながら、平成8年、33歳で「ゆうカウンセリングオフィス」を構えた。当時の収入は講師で稼ぐ年400万円。中島公園近くのマンションに月10万円の支出でまかなえる事務所を設置したが、最初のころはお客が1人も来ない日々が続いた。
転機になったのは当時のタウン誌の一つが神田さんを取り上げたこと。その後、相次いで他のタウン誌やフリーペーパーが神田さんを紹介、女性のお客が徐々に増えていったという。
平成11年には神田さんが代表になって北海道女性起業家ネットワークを設立、女性起業家や起業を目指す女性など約100人が参加して、いわゆる女性起業家ブームが沸き起こったことがあった。4年間代表を務めたものの、メンバーの中には温度差があって神田さんのもやもや感が高まり、脱退。当時、フィナンシャルプランナーの草分け的存在だった須藤臣さんとの出会いがあり、神田さんの会社も大きくなる途上だったことから代表としての仕事がこなせなくなっていたのも脱退の理由だった。
その後は、東京への講師派遣や熊本でのカウンセラー養成教室の展開などカウンセリング事業は今も拡大している。
しかし、神田さんの起業家としての事業欲はこれで留まらない。東京への本格進出、カウンセリングと保育のコラボ――。「こんな仕事があったら面白いな。わくわく、ドキドキするものを作っていきたいんです」と神田さん。わくわく、ドキドキこそ神田さんを奮い立たせる原動力になっているようだ。