羽幌町にあった羽幌炭砿の閉山45年を記念して27日、はぼろ温泉サンセットプラザで羽幌炭砿大同窓会(実行委員会主催)が開かれた。その席上で当時炭砿街にあった太陽小学校の児童が閉山のために転校して受け取れなかった同小の卒業証書を45年ぶりに恩師から受け取った。
(写真は、太陽小学校の校長だった室田憲作さんから卒業証書を受け取る旧姓乳井美保さん)
大同窓会には、かつて炭鉱で働いた人たちや家族、教諭ら約250人が全国から集まった。羽幌炭砿は鈴木商店の流れを組む炭砿会社。同商会は、ペリー来航後に神戸で誕生した貿易会社で神戸製鋼所や石川島播磨重工、対人、昭和シェル石油などを設立したが昭和初期に破綻している。
今回の大同窓会は、鈴木商店関係者が昨年、ウェブ上で鈴木商店記念館を開設、その中の地域特集として羽幌編を紹介したのがきっかけ。町役場や地元の農協、漁協のほか鈴木商会の流れを汲む太陽鉱工、日商プロパン石油の協力で閉山後初めて開かれた。集まった参加者たちは、往時の賑わいを語り合いながら親睦を深めた。
サプライズイベントとして行われたのが45年ぶりの卒業証書の授与。廃砿の閉山で親が転勤、炭砿街にあった小学校の卒業を目前に札幌の小学校に転校した平岡(旧姓乳井)美保さん(56)に同小で教鞭を執っていた室田憲作さん(同実行委代表で元町議会議長)から幻の卒業証書が手渡された。
平岡さんは、「当時の同級生たち十数人は閉山によって全国に散らばりましたが、あのころの思い出がいっぱい。手作りとは言え、卒業証書を恩師の室田先生から貰えて嬉しい」と話していた。
大同窓会では、羽幌炭砿専務だった金子三次郎さんの孫にあたる金子直三さんや双日総合研究所小林正幸主任研究員が基調講演を行ったほか駒井久晃町長が炭砿遺産として今後観光に活用する意向を示した。