北海道経済連合会、東北経済連合会、北陸経済連合会の三経連経済懇談会が10日、札幌市中央区のロイトン札幌で開催された。各経連の持ち回りで行われる懇談会で20回目の今年は札幌開催となり、ロイトン札幌には三経連の会長や副会長など約50人が集まった。『地域の強みを活かした地方創生の実現』をテーマに約2時間、意見交換した。(写真は、第20回三経連経済懇談会)
道経連の大内全会長(北海道電力元副社長、北海道電気保安協会理事長)は足下の道経済について、「観光はアジアからの観光客を中心に伸び続け好調を維持しているが、公共工事の請負額は前年を下回るなど域際収支の赤字は2兆円近い。人口減少は年間3万人を超えており全国最多。先々は極めて深刻だ」と述べた。
道経連の取り組みとして、将来的な食・観光産業の在り方を検討する専門プロジェクトチームを立ち上げたことを紹介、「来年3月の北海道新幹線開業効果の最大化に向けて今年6月には北経連を視察、東経連とは今年末に共同企画を開催する予定。両経連には新幹線の先達として指導して欲しい」と要請した。
東経連の高橋宏明会長(東北電力相談役)は、①東日本大震災からの復興の加速化②震災後の新しい東北づくりとしてILC(国際リニアコライダー)と放射光施設の誘致③東北の観光振興を図るためプレジャーランド東北をPRしていることを報告したうえで、「北海道新幹線の開業が両地域の発展に結び付くよう互いに協力したい」と強調した。
北経連の久和進会長(北陸電力会長)は、「今年3月に北陸新幹線線が金沢まで開通して半年経過したが、乗車人数は当初予想を超えて前年比較で3倍になり大変な盛り上がりを見せている。この賑わいは新幹線開業だけで実現したのではなく、これまで地元一丸となって北陸の魅力を広くアピールしてきた結果」と述べたうえで、「一過性で終わらせることなく持続的なものにするため来月から北陸デスティネーションキャンペーンを始め、全国への情報発信を強化して広域観光の推進を進める」と話した。
懇談会で北経連の江守康昌理事(日華化学社長)は、女性部会を昨年発足させたことを紹介し、「北陸は女性の就業率が高いが待機児童がほとんどいない。女性が働きやすい地域だ」とアピール。また、広域観光の推進について川村人志理事(三協立山相談役)は、「AKBを合言葉にしてPRしている。AKBとは甘エビ、カニ、ブリのこと」と笑いを誘った。
最後に、懇談会で意見交換したこと踏まえ観光産業の発展に向けた基盤整備促進など5項目について共同で国などに働き掛けていく事を決議して閉会した。
なお、11日は岩見沢市が農協などと共同で取り組んでいるGPSを利用したICT農業の視察を実施する。