道内は人口減少や少子高齢化で食品小売販売額が毎年減少している。大型スーパーや食品スーパー、コンビニエンスストアなど食品小売業の経営環境は厳しさを増している。
道経済産業局の統計によると、08年の道内食品小売販売額は約1兆4500億円。その前の年よりも約280億円も減少した。
広く薄くちりばめられながら食品小売市場のパイは減少しているから、“ゆで蛙”のように気づかないかもしれないが、280億円といえば、道内の中堅スーパー1社分の売り上げに相当する。人口減少のスピードや高齢化によって食べる量そのものが減少することなどが相乗的に作用しあえば、毎年スーパー1社がなくなっていっても不思議ではない。
そんな中で、セイコーマートは売上げを伸ばしている。毎年280億円程度が減っていく食品小売市場の中で、前年同期の売上げを確保するのは至難だ。何もしなければ確実に売上げは減っていく。減少の勢いに抗いながら様々な手を打って前年並み、つまり100%を維持するのがやっとというのが実情。
以前、ダイイチの鈴木達雄副社長は、「下りエスカレーターを走って上っている状況が今の食品小売業」と例えだが、まさに正鵠を射た表現。
セイコーマートは前期に2%強、売上げを伸ばした。様々な手を打ってきた成果だが、その一つに広告宣伝の強化があげられる。「商品の競争は価格競争だけではない。お客様の選択眼はより激しくなっており、お客様から選ばれるためには、広告宣伝で当チェーンをより広く知ってもらうことが必要」という逆張りの理由からだ。
通常なら、売上げが減っているからチラシやCMを減らそうとするが、セイコーマートはむしろ逆に増やして顧客の選択眼に訴えていくという考えだ。
同社は今年度の広告宣伝費を前年の8億円から14億円に6割近くも増やす計画だ。これだけ広告宣伝費を増やせるのは同社のグループ経営にその秘密があるのだが、それは改めて紹介する。
全道くまなく出店しているセイコーマートは、例えばCMなどでも地域限定の食品スーパーよりもコストは安くなるという。また、セブンーイレブンやローソンなど競合コンビニのCMや広告宣伝には北海道の地場性が薄いという。
地域密着の地域コンビニを自認しているセイコーマートの広告宣伝戦略が成果を挙げているのはこれまでの売上げを見ても疑いようがない。同社は今年度3%増の売上げを狙っている。
(写真はセイコーマート本社ビル)