北海道ゴルフ連盟(会長・吉野次郎札幌ゴルフ倶楽部理事長)や北海道ゴルフ場支配人会(会長・龍嶋浅雄輪厚支配人)、日本ゴルフ場経営者協会北海道支部(支部長・堂垣内正弘氏)と田中芳憲道議(自民党議員会幹事長)は6日、道庁知事会議室で辻泰弘副知事に『ゴルフ場利用税廃止を求める要望書』を手渡した。全国一斉陳情の一環で道ゴルフ連盟など3者が道に要請するのは今年で4回目。(写真は、廃止要望書を辻泰弘副知事=右に手渡す吉野次郎道ゴルフ連盟会長)
ゴルフ場利用税は、19~69歳までの利用者にゴルフ場のホール数やプレー料金に応じて1人400円から1200円の幅で道が徴収しているもの。1989年に消費税が導入される以前は娯楽施設利用税としてパチンコ、ボーリング、ゴルフなどに課税されていたが消費税導入によってゴルフ場以外はすべて廃止されている。当時のゴルファーは担税力のある富裕層が多いという国の判断だった。
しかし、いまやゴルフは富裕層でなく一般国民のスポーツになっており、高齢化社会を迎えゴルフが健康寿命を伸ばすには最適であるという認識が浸透。さらに来年のリオ・デ・ジャネイロ五輪でゴルフは正式競技として復帰することからスポーツとして世界的に認知される状況になっている。ゴルフ場利用税は、こうしたスポーツとしての広がりを阻害するとともにゴルフ人口を減らす原因になるとして全国のゴルフ関係団体が4年前から各地で一斉陳情を始めている。
4回目の陳情となった6日、道ゴルフ連盟の吉野会長は、「ゴルフは高齢化社会を迎える中で国民の健康のために大きな役割を果たすと思うので廃止に理解と支援をお願いしたい」と述べた。これに対して、辻副知事は、「観光面でもゴルフ場は重要な役割があると理解している。また良いゴルフ場があるというので企業立地が進むケースもある。ゴルフをしやすい環境を作ることは大事だが、国は『地方はコスト』というくらい厳しい目を向けており、我々の努力で税収を一生懸命上げても交付税が減るなど財政的に大変厳しい。道も道議会と一緒になって国への財源確保をしっかり要望していかなくてはならない」と語るにとどめた。
ただ、利用税廃止に向けた追い風は吹いている。昨年11月の参院予算委員会で安倍晋三首相は、ゴルフ場利用税の廃止について触れ「ゴルフ料金のうち税金の比率が高くなっているのは事実。検討したい」と答弁したほか、麻生太郎財務相も「五輪種目にもなっているゴルフに税金がかかるのは如何なものか。15年10月の消費税率を10%に引き上げた場合は地方税も増えるため廃止のタイミング」と答弁している。安倍首相は、自民党総裁になる前は日本ゴルフ場経営者協会理事長をしており、ゴルフ場経営に一定の理解があるとされている。
道のゴルフ場利用税の税収は、14年度で17億4000万円(前年度比2・3%減)。そのうち12億1900万円がゴルフ場面積に応じて市町村に交付され、残りのうち4億9000万円が道に、3100万円が徴収義務者の各ゴルフ場に代行手数料として配分された。市町村に交付された額のベスト5は次の通り。①北広島市1億8800万円②苫小牧市1億7200万円③札幌市1億1000万円④恵庭市7100万円⑤千歳市6800万円。
(写真は、利用税廃止の陳情をする道内ゴルフ関係団体役員ら=右)