「来年から3年間は診療報酬改定、薬価改定や消費増税と続くので調剤薬局事業は大きく影響を受ける。診療報酬改定がない今年は先行投資の年に位置づけ来年からの3年間を成長のチャンスにする」――アインファーマシーズ(本社・札幌市白石区)の大谷喜一社長は4日、札幌証券取引所で開催された個人投資家向け会社説明会でこう宣言した。会場には100人を超える個人投資家が集まり大谷社長の説明に聞き入った。(写真は、札証の個人投資家向け説明会で話すアインファーマシーズの大谷喜一社長)
大谷社長は7月末で調剤薬局の店舗数が2015年4月期末の754から822になったとして「出店は順調だ。今期目標の120店を超えるだろう。調剤薬局チェーンのM&Aも活発に行っているので目標を上回る出店が可能」と話した。15年4月期の売上高は1879億400万円、経常利益は116億9700万円だったが、今期(16年4月期)は、売上高2182億8000万円、経常利益137億円を計画、「売上高が2000億円を超えるのは間違いない」と説明した。
調剤薬局チェーンは、2年に1度の診療報酬改定と薬価改定で業績に影響を受ける。昨年は診療報酬引き下げの年度に当たり同社も技術料などが下がり、中間期まではその前の期に比べて70~80%台に売上げが下がった。結果的には通期で10・4%の増収になったが、診療報酬改定によって業績の振れ幅が大きくなる宿命にあるのが調剤薬局チェーンだと言える。
今年は改定がないが、来年は改定があり、改定のない17年には消費増税が予定されており、「結果的に3年連続の診療報酬改定が行われるのと同じことになる。当然薬価も下がり、技術料も影響をうけ調剤薬局チェーンには逆風に近い3年間になるだろう。今年、いつも以上に先行投資できるかどうかが来年以降の3年間を左右することになる」と、システム投資や人的投資、M&A、ジェリネック医薬品の比率(15年4月期で65%)をさらに引き上げるなど先行投資を積極的に行っていくことを示した。
大谷社長はアナリスト向けの決算説明会で今回初めて物販事業の業績予想も加えたことを明らかにした。「アインズ&トルペの物販部門で億単位の利益が出るようになり、ようやくアナリスト向けの説明に加えることができるようになった。3~4年前までは調剤部門にしか投資できなかったが、物販部門にも投資できるような財務体質になったということでもある」と述べ、今期は7月に新宿東口店、9月には旧丸井マルサ跡にル・トロワをオープンするなど投資を拡大、「3~5年後にはかなりのレベルで収益に貢献してくる」と語った。
なお、同社の道内株主は現在約1000人で昨年の300人から3倍増になったという。同社は東京証券取引所1部と札証に上場している。