法曹関係者で構成されるアジア刑政財団札幌支部の特別シンポジウムが、5月23日に札幌パークホテルで開かれた。テーマは「『法の支配』と北海道経済」。
ちょっと堅苦しそうな講演会の講師として招かれたのが北洋銀行頭取の横内龍三氏。というのも、横内氏は弁護士資格を持っているから。京大法学部在学中に司法試験に合格したものの、日銀に入ったため日銀を退職するまでこの資格は“塩漬け”されていた。日銀を辞した後に司法修習生になり、その後東京の弁護士会に入って弁護士として約2年間実際に企業法務を担当していた。
そんな訳で、この講演会の講師に選ばれたのも納得できる。
さて、以下は横内頭取の講演からの抜粋。
《フットボール発祥の地、イギリスでは最初ルールが各大学や自治体ごとにバラバラだった。だから試合にならなかった。サッカールールを統一しようということになり、試合が出来るようになった。ルールは、人間交流の潤滑油》
《私は道の公安委員ですが、法の整備と法の執行の体制は重要です。もう一つ重要なことは、法令の順守をしようという気持ち。法を守っていくというコンプライアンスの意識が重要》
《法令順守よりももっと人間の本質的な部分に迫ることも大切なこと。米国でよくインテグリティという言葉が使われている。誠実性と訳せますが、企業、個人でも誠実性が根底にないといけないと思う》
北海道経済にどう結び付けるのか注目していたが、そこの部分にはあまり言及がなかったのが残念だった。ただ、横内氏のインテグリティは講演ぶりから良く伝わった面はある。弁護士資格を持っている頭取は、全国見渡しても横内氏以外にはいないのではないか。それだけに、北海道のリーディングバンク、北洋銀行のカバナンスについて聞きたかったというのが正直な感想。