昨年8月に109年の歴史に幕を閉じた札幌狸小路商店街の時計宝石の徳永。その店舗跡に大阪王将を展開するイートアンド(東京ヘッドオフィス・東京都港区)が肉をメーンにした新業態の飲食店『SAPPORO BONE』をオープンさせた。老舗時計宝石店跡に生まれた新タイプの飲食店は新たな歴史を刻むことができるか。(写真は、徳永店舗跡にオープンしたイートアンドの肉バル業態の『SAPPORO BONE』)
北海道で最も古い商店街として知られる札幌狸小路商店街。南2条・南3条の西1丁目から7丁目まで約700mに亘ってロングアーケードで覆われ約200軒が営業している。
商店街は明治6年にできて既に140年を超えているが、100年を超える店は数えるほど。徳永はその一つだった。開店は1905年で1933年に狸小路5丁目に店舗を構え、一時は複数店舗を構えるなど隆盛を極めたが、消費環境の変化などでジリ貧になり、社長の死去もあって昨年8月10日に109年の歴史に終止符を打った。
店舗は狸小路5丁目の西北角にあり、閉店後はシャッターが下ろされたままだったが今年4月に入ってからかすかに残る『徳永』の文字を消すなどリフォーム作業が進み、店舗は第70藤栄ビルという名前に変わってゴールデンウィークに入った4月29日、『SAPPORO BONE』に生まれ変わった。
この店のコンセプトは、骨付き肉と道産野菜などを豪快に使用すること。ランチの目玉商品は『肉バルのTKG(卵かけご飯)』。ラムと道産牛肉を炭火でレアに焼いて薄くカットしたものを器からこぼれるほど豪快に盛り、特製ソースと卵黄を混ぜて食べる。
店舗デザインはアトリエテンマ(札幌市)が担当、教室をイメージしたテーブルや椅子、黒板を設置しているほか、ワインの瓶やアンティークな銅鍋を照明に使うなどカジュアルな空間になっている。
最近は東南アジアからの観光客で溢れるようになった狸小路商店街。商店街をそぞろ歩く人たちの顔ぶれが変わって行くように、店もまた消えては生まれる。狸小路商店街は時代を映す鏡のように姿を変えながら終わりと始まりを繰り返していくのだろう。