札幌のマチの顔が大きく変わる再開発事業がまた動き始める。既に中心部の北1西1では再開発工事が始まっているが、今度は創成川イースト地域の2件。11日に開かれた市の都市計画審議会では、移転するJR苗穂駅南口ゾーンの「北3東11」と旧北ガス札幌工場跡周辺エリアの「北4東6」について再開発事業開始の前提となる都市計画決定が同意された。これを受けて市が再開発事業を決定、2015年度からマンションや商業施設、高齢者向け住宅の建設に向けた動きが始まる。2つの再開発が完了するのは5年後の20年度になる。(写真手前右側が、北3東11周辺地区のA街区)(写真は、北4東6周辺地区の北東街区)
北3東11周辺地区の再開発は、JR苗穂駅が現在地から西に300m移動して橋上駅になることなどに連動して行われる。岩田地崎建設や日本通運など9者が地権者の再開発準備組合が設立されており、市の都市計画決定を受けて15年度に正式な市街地再開発組合が設立され実施設計に入る。
11日の都市計画審議会で示された基本設計によると区域面積は約2・5haでABCDの街区に分け、A街区約4300㎡に地上25階のマンション160戸、B街区約7700㎡に地上25階のマンション170戸と低層階に医療・商業施設が入る建物、高齢者向け住宅50戸の2棟、C街区約1600㎡には既存の寺院建て替え、D街区約1100㎡には業務施設がそれぞれ建築される。また新苗穂駅の南口には駅前広場を整備する。マンションは2LDK~4LDKとファミリー層を想定、新苗穂駅が橋上駅となるため各建物に通じる空中歩廊を整備する。
市都市局によると総事業費は約190億円で再開発事業に伴う補助金は約28億円になる。16年度に1期工事としてBCD街区の建設に着手、18年度に竣工。その後A街区を建設、再開発が完了するのは20年度。
北4東6周辺地区は、北ガスの札幌工場が操業停止したことや現中央体育館(大通東5)の老朽化に伴い移転候補地として想定されることから再開発エリアに位置づけられ、北ガスや濱野建材店など11者によって再開発準備組合が設立されている。こちらも市の都市計画決定を受けて15年度に市街地再開発組合を設立し実施設計に入る。
区域は約4・1haでJR線沿いの北東街区、北西街区、サッポロファクトリーと北3条通を挟んで接する南街区に分かれる。北東街区は約1万1800㎡でクリニック、調剤薬局、サービス付高齢者向け住宅約150戸の地上10階建物とスポーツジムを想定した地上3階建てビルの2棟を、北西街区約1万5000㎡に地上3階建ての新中央体育館、地域冷暖房施設、駐車場などを、南街区約7600㎡にマンション260戸と商業施設の入る地上20階、地下2階の複合ビルをそれぞれ建てる。
サッポロファクトリーから空中歩廊で各街区の建物と接続させ冬期間にも対応した歩行空間を確保する。
こちらの総事業費は約300億円で補助金は約45億円。今後のスケジュールは、15年度に市街地再開発組合設立して実施設計、組合員の所有する土地と建物等との権利変換の後、16年度から既存建物を取り壊し、1期工事として南街区と北西街区の工事に着手。この工事が18年度に完成したのち2期工事として北東街区の建設に着手、再開発を終えるのはこちらも20年度になる。なお、新中央体育館の移転に伴い撤去される旧中央体育館の跡地利用は今後検討する。