大見英明コープさっぽろ理事長インタビュー②「2015年は我慢と執着の一年だ」

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 コーさっぽろ大見英明理事長(56)へのインタビュー第2弾は、2015年の具体的展開とコープさっぽろ創立50周年に向けた取り組みに焦点を当てる。「リアルエコノミー」では、他のメディア媒体では報じないところまで踏み込み、大見理事長の胸の内を赤裸々にお伝えする。昨日の第1回と合わせて読めば、今年のコープさっぽろの戦略がまるごとわかる保存版になるように構成した。IMG_1529(写真は、売上げの生鮮比率が50%を超えるコープさっぽろしがイースト店の新装オープン時に店頭に立つ大見英明理事長)
 
 ――3月21日から始まる来年度は店舗事業で前年を超えることが目標か。
 
 大見 来年度はほぼ既存店100%になるだろう。それが何とか維持できれば良い。当然、赤字店もある訳だから個店のパワーをもう一段どうするかということに注力し新店は出さない。もう一回、競争力を引き上げるため相当力を入れて内部努力をやっていくことに執着する。
 
 ――「泥臭さ」と「執着」というのは、今までコープさっぽろのイメージと違う。
 
 大見 今までは優等生というイメージだったが、それを変える。
 
 ――電子マネーなどカード戦略について。
 
 大見 コープさっぽろの電子マネー「ちょこっとカード」を昨年10月から始めたが普及率は20%超えた。函館地区が3月に新レジに切り替わるので、そのタイミングで全店に普及する。また3月から全店に順次チャージ機も入れる。現在は、レジや総合カウンターでチャージに対応しているが、専用チャージ機でチャージできるようにする。その後、5月か6月くらいにポイントもチャージできるようにする。宅配トドックのポイントと店舗のポイントを4月初めに統合するなど、生協陣営として利用を促進してもらえる環境をカードで整える。
 
 ――店舗リニューアルの予定は。
 
 大見 今年は我慢の年だが、それでも7~8店舗は手直しをやっていく。10店舗まで行くか行かないかというところだ。「ルーシー店」(札幌市白石区)は3月にデリカ強化のために一時閉店するが、建物自体のメンテナンスもあるため3億円程度のリニューアル投資にはなる。昨年11月にスクラップ&ビルドでオープンした「しがイースト店」(登別市)は、生鮮構成比が50%を超えている。生鮮3分類とデリカで50%を超えベーカリーまで入れると56%くらいだ。店舗段階としては一番利益の出る構造の店になった。
 
 ――全108店舗のうち一部店舗での業態転換やDS店を出していく考えは…。
 
 大見 あまりにも個店間競争の厳しいところは業態を変えることはあるが、うちがDS業態に転換するのを組合員は望んでいないだろう。”安さ感”のニーズは高いがDSまでは求めないというのが組合員の多くの声だと思っている。
 
 ――コープさっぽろ子会社のシーズ協同不動産が33%強出資している函館のスーパー「魚長」の状況はどうか。
 
 大見 毎年3億円ずつ金融機関に返済している。売上高124億円(2014年2月期)なので優秀な業績だ。コープさっぽろとの統合効果があったと見ている。ただ、コープさっぽろとの関係はこれ以上、深めない。アライアンスの形は現のままで良いと考えている。
 
 ――宅配トドックに関して新しい取り組みはどうか。
 
 大見 宅配トドックは毎週4000品目に対応しているが、これをもっと増やそうと考えている。カタログ方式にしていつでも注文できるようにして4000品目の限界を超えて行くチャレンジをする。実験をやりながらだが2年で1万品目くらいのコントロールができれば良いなと思っている。
 
 ――増やすのはどの領域の品目か。
 
 大見 例えば非食品の分野ではカタログのない週は注文できない。毎週入るカタログに4000品目あってそれが注文できる仕組みだが、4000品目というのはコンビニの2000品目の倍。しかし、現状で良いわけではなく品目を増やすことでドラッグストアの領域を取りに行く。
 昨年コールセンターをアウトソーシンングから自前にしたので、サービスレベルが間違いなく上がってくる。そのコールセンターの人員を使って「何かお困りのことはございませんか」というような”御用聞き”コールも始めたい。一人暮らしの高齢者などに手の届くようなサービスを展開していけるように進化していかなければいけない。
 
 ――ところで、今年がコープさっぽろの創立50周年、何か記念イベントは考えているのか。
 
 大見 経営局面が昨年秋から変わった。当初は様々なことを考えていたが、粛々と組合員に向き合う1年にしようと考えている。各メーカーと一緒になって料理を好きになってもらうセミナーを実施するなど生協らしいやり方で組合員との距離を縮めたい。派手なことをせず地味でも着実にやっていけることに注力する。大騒ぎはしない。
 
 ――理事長在任9年目の2015年は、まさに正念場になる?
 
 大見 14年3月期が減収減益になることで、約193億円の未処理損失を解消していく再建計画が後ずれしてしまうことが残念だ。消費税が上がったら再編の幕引きだと言われていたが、それは間違いないところだろう。まだ揺れる、特に北海道はね。(インタビュー全2回終わり)

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