コープさっぽろ(本部・札幌市西区)は9日、取引先などで作る生協会の2015年新春学習会を札幌市白石区の札幌コンベンションセンターで開催、約1500人が出席した。話題提供と題してコープさっぽろの大見英明理事長が、昨年の振り返りとともに設立50周年を迎える2015年の運営方針などを明らかにした。2回に分けて大見理事長の語った内容を紹介する。(写真は、新春学習会で報告する大見英明理事長)
大見理事長は、冒頭に昨年末の売れ行き状況を報告、「12月21日から31日までの店舗売上げは前年比97%になった。コープさっぽろが経営危機に陥った1998年以降18年が経つが、年末商戦で前年を3%も割り込むのは初めての経験。ここは踏ん張りどころだ」と大見理事長としては珍しく危機感を表明した。宅配トドック事業も最終週は前年比98%だった。
クリスマスや正月に家庭で食べるために買う“晴れ食材”は堅調に伸びたが、プライスラインの中央にある中級品食材は不振だったことを報告。宅配トドックのおせち料理の売れ行きに付いても言及し、「おせちは前年比128%になったが、1万5000円のミドルゾーンが不振で、2万1000円のアッパー品と1万800円のゾーンにシフトした」と述べた。この傾向はおせち以外にも現れており、消費はこれまで分厚かったミドルが縮小、上下に二極化する傾向が鮮明になってきたことを強調した。
10月~12月の3ヵ月間の店舗売上げは前年比97・5%だったとし、そのうち組合員と非組合井員の購買動向に触れ、「売上げの8割は組合員、2割が非組合員の構成で3ヵ月間を見ると組合員は99%、非組合員は92%で全体として97・5%になった。生鮮食品は好調だったが、農産物やコメの相場下落の影響を克服できず売上げがダウンした。売る努力を一段強化しなければならない」とした。
大見理事長は、2014年の上期は消費増税の対応に終始したと語り、下期からは北電の電気料金再値上げ、市営交通の値上げ、アベノミクスが浸透していないことなど実収入が減る負の所得効果が出てきたと分析したうえで、「盆明けの気温低下とともに例年にも増して消費マインドは急速に低下した」と話した。
また、ディスカウント業態のトライアル(福岡市)が道内に7店を新規出店したことに触れ、「コープさっぽろの16店舗で影響を受け、当初は売上げが前年比で80%台後半まで落ち込んだが最近は96%台まで回復している。いきなり7店舗の居抜きではない新店に高をくくっていた面があった。まずアークスがトライアル対策として価格対応をはじめ、コープもそれに追随した」と状況報告し、12月の総選挙で安倍政権が信任されたことで消費再増税は17年4月が固まり、節約志向は一段と顕著になることを予想していた。
コープさっぽろは、今年が50周年になるが、「厳しい競争環境が継続することを前提に臨みたい」と気を引き締めていた。(以下、次回に続く)