「SLニセコ号」が、紅葉シーズンを迎えて観光客の人気を集めている。今年も9月20日から土日祝日の運行を開始したが、11月3日の運行を最後に姿を消すことになっており、最後のSLを楽しもうと紅葉が深まった12日も大勢の乗客が乗り込み、名残を惜しんだ。(写真は、SLニセコ号=読者提供)
JR北海道は、2015年度の北海道新幹線開業に向けた準備に傾注することや新型ATS装置の搭載費用に新たな投資が必要となることなどから季節運行しているSL列車を今年度で終える。廃止するのは「函館大沼号」、「ニセコ号」、「はこだてクリスマスファンタジー号」の3列車で、釧路湿原を走る「冬の湿原号」は新型ATS設置路線から外れておりSL運転技術、保守作業などを継承するため存続することにしている。
SLニセコ号は、札幌と蘭越間を一往復するもので紅葉真っ盛りの12日に乗車した乗客の一人は、「片道3時間の往復SLは、さすがに疲れました。でも、余市を過ぎてから、山に向かっていくと紅葉も一段と深くなって見事でした。列車内は木の肘掛けや、ランプがとてもレトロで車掌が発車のベルを鳴らしたり、時折響く汽笛が郷愁を誘っていい感じでした」とSLの旅を満喫した様子だった。
倶知安と蘭越間は自由席区間のため、この日は倶知安駅から100人以上が新たに乗り込み、通路も人でごった返したが、羊蹄山やニセコ連山の紅葉を車窓から眺めながら蘭越までの30分間を思い思いに過ごしていた。