「中小企業憲章」制定4周年記念セミナーで北川慎介中小企業庁長官と道内中小企業経営者らが丁々発止の議論

経済総合

IMG_8188IMG_8199 政府が中小企業の果たしている経済的、社会的役割を明記した「中小企業憲章」を制定して4周年、それを記念したセミナーが23日に札幌市内で開かれた。一般社団法人北海道中小企業家同友会が主催したもので、経済産業省中小企業庁長官の北川慎介氏が招かれ、集まった同友会会員や地方自治体行政マンら130人と意見交換した。中小企業経営者らが政策批判を口にすると、北川長官が「地域のことは地域の中小企業が決めることが先決」と反論するなど互いの間合いを詰める中身の濃い議論が交わされた。(写真左は、講演する北川慎介中小企業庁長官、写真右は閉会挨拶する北海道中小企業家同友会の守和彦代表理事)
 
 
 
 セミナーは、北川長官の『中小企業憲章の理念と中小企業振興のための新しい政策展開』と題した講演から始まった。北川長官は、「私が通産省に入省した当時、全国の中小企業は630万社あったが35年経った現在、385万社にまで減っている」と現状を紹介、「中小企業とひと口に言っても従業員5人以下の小規模事業者が9割を占めており、地域経済と小規模事業者の活性化は表裏一体で進めなければならない」と強調した。そのうえで、小規模事業者支援パッケージ事業やサポイン事業(ものづくり中小企業・小規模事業者等連携事業創造促進事業)、よろず支援拠点による支援体制などについて紹介、国や公的機関の施策情報を一元的に提供するポータルサイト「ミラサポ」の活用なども呼びかけた。
 
 その後、参加者が少人数ごとに分かれてグループミーティング、北川長官の講演を踏まえた意見集約を行った。中小企業経営者の意識が低いなど自省の意見など共に政府の中小企業政策が次々に出されてそれぞれがリンクしていないことや利用しにくいことなども指摘された。
 
 こうした意見表明を踏まえて北川長官は、「地域の将来を決めるのは中小企業庁でも政府でもなく地域に住む人々。地域のリーダーである中小企業経営者らがどうしていくかを決めたうえで政策に足りないところがあれば補っていくのが正しい順序だ。政策が悪いから自分たちが良くならないというのは順序が違う議論」と反論する場面があった。
 
 さらに、「政策が良く分からないという声や次々に変わる、知らされていないということも耳にするが、信用保証を利用している中小企業が全体の3分の1に当たる150万社もあるように、本当に必要なら利用している。税理士や金融機関、商工会議所などに『こんな施策はないのか』と迫って引き出すくらいのことをしてほしい」と訴えた。
  
 閉会挨拶で同会代表理事の守和彦ダテハキ会長は、「09年から12年までの間に中小企業は全国で35万社減少している。先進国でも稀なスピードで消滅しており、このままでは地域が崩壊してしまう。地域の状況を直視して将来像をどう描くか、中小企業経営者の役割は大きい」と述べ、「法人税減税の見返りに外形標準課税の導入が議論されている。中小企業の7割は赤字でありこの課税によって中小企業憲章で謳われたことと全く逆のことになる可能性がある」と危機感を訴えて締めくくった。

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