日本ハム(本社・大阪市北区)は、26日開催の臨時取締役会で新球場建設構想の候補地を北広島市の「きたひろしま総合運動公園」とし、新球場の基本設計および事業としての実現可能性の検証など、建設に向けた具体的取り組みを進めることを決議した。(写真は、北広島市役所)
これによって、一昨年5月から始まった日ハム新球場を巡る自治体の誘致合戦は、終止符を打つことになるが、実現に向けてはこれからが本番になる。これまでは、どちらかというと机上の計算が中心だったが、これからは、リアルなマネーの問題が必須の事項になってくる。日ハムにとっても北広島市にとっても、これまでと違う、シビアなネゴシエーションが必要になってくるだろう。
それにしても誘致に名乗りを挙げた北広島市と札幌市の行政サービスの多寡を天びんに掛けるような日ハムの選定方法には、少なからず問題があった。とりわけ札幌市と交渉にあたった日ハム担当者は、スポーツビジネスに携わる人物とは思えない言動を繰り返した。「選んでやっている」という姿勢が、誘致合戦の根底に漂っていたことを嗅ぎ取った道民、市民は少なくないだろう。
プロ野球日本ハムファイターズが札幌ドームを本拠地とした2004年以降、ついて回ったのは、同社の自己完結型商法へのブーイング。ファイターズの経済効果をグループで囲い込む姿勢が、地域密着の観点から疑問という声だった。
ファイターズが球界随一の人気球団になったのは、道民や札幌市民の後押しがあったから。球場選びでこうしたファンが離れていくようでは元も子もない。北広島市での新球場建設に向けファイターズは、親会社の日ハムともに一段と目線を低くして、ファンと寄り添う姿勢をはっきり示してほしい。