親の虐待や生活苦など様々な理由から一緒に暮らせない子供たちを預かる児童養護施設。その子どもたちに笑顔を届けたいと、札幌電気工事業協同組合(札電協)青年部が今年も札幌市内の5施設にイルミネーションを施して光のページェントをプレゼントした。札電協青年部と子どもたちの心の交流は今年で5回目。回を重ねるごとに趣向もスケールアップ、子どもたちの笑顔が幾重にも広がった。ライトアップ全体像1(写真は、児童養護施設柏葉荘でのライトアップ)

 青年部が取り組むイルミネーションが終わってから届く子どもたちのお礼の手紙や色紙。「ありがとう」、「楽しかった」、中には「将来電気屋さんになる」という言葉も書かれている。「こんなに喜んでくれてこちらが感謝したいくらいです。これこそが私たちの原動力なのです」。札電協青年部広報委員長の藤井大樹さん(42、でんこう課長)は言う。
 
 中小の電気工事会社約500社で組織する札電協。青年部は各企業の45歳までの組合員で構成されている。現在は53人が所属する。
 児童養護施設でイルミネーションを始めたのは2012年2月。「以前から青年部も様々な地域貢献活動をしてきましたが、6年前に当時の事業委員長が児童養護施設があることを知って、そこで暮らす子どもたちに喜んでもらおうと始めました」(藤井さん)。
 
 普段の仕事では子どもとの接点は殆どない。児童養護施設での電気工事はあっても、そこで暮らす子どもたちと触れ合うことはなかった。小さなLED電球をいくつも光らせて夢の世界を作るのは、自分たちの得意とするところ。札幌の大通・南1条通りを彩るホワイトイルミネーション終了後にその設備の一部を借りて市内5ヵ所の養護施設でイルミネーションを飾りつけ、点灯を始めた。その活動に札幌リバティライオンズクラブ・札幌南ロータリークラブといった他団体も賛同、様々な形での協力があってこそのスタートだった。
 
 子どもたちとの共同作業は飾りつけだけではない。合間の時間に雪像やアイスキャンドルも作る。こんな機会がなければ言葉を交わすことも一緒に遊ぶこともなかった。青年部の中で喜びを心から実感する部員が増え、毎年続けることが当たり前になった。
  
 5回目の今年は、2月初旬の土日で5施設にイルミネーションを飾り付け、11日から21日まで夜間の点灯を行った。前回よりも楽しく印象に残るものにしようという工夫がいくつも施され、子どもたちの期待感も年々高まっている。
 イルミネーションの光は白が中心だが、今回はピンク、青、緑と4色を発光させ、札幌市北区の柏葉荘では児童虐待運動のシンボルマークであるオレンジリボンも手作りで輝かせた。羊ヶ丘養護園の雪像づくりでは北海道新幹線にも挑戦、子どもたちの夢が膨らんだ。
 
 昼間は例年のように高所作業車の搭乗体験も実施したが、高さは14mとビルの4~5階に匹敵する。「実は私たちもこの高さで作業することは滅多にありません。子どもたちが喜んでいるのに、足ががくがくして本当に怖かった」と事業委員の小原弘嗣さん(36、札幌電商社専務)は苦笑する。
  
 札電協青年部が始めたこの取り組みは、全国の青年部仲間にも影響を与えている。今回は、岩手県電気工事業工業組合青年部から8人が視察に訪れ、南区の札幌育児園で一緒に点灯式を行い、子どもたちへのプレゼントも用意してくれた。「他府県の青年部の人たちが駆けつけてくれたのは初めてのことで、とても励みになりました」と広報副委員長を務める細野隆平さん(42、橋本電気工事係長)は話す。札幌発の活動が全国に広がれば、こうした施設で暮らす全国の子どもたちの笑顔も広がっていくだろう。
 
 2月の10日間を利用した光のページェントを実施するには、前年の8月から準備をする。打ち合わせを繰り返し、施設との話し合いも行って準備の段取りを決めていく。仕事と向き合うのと同じくらい眼差しは真剣だ。子どもたちの喜ぶ姿を見たいという一心で手間と時間をかける。
 
 そうして子どもたちと一緒にページェントの本番を迎えた時、笑顔で喜びを分かち合うことができる。青年部と子どもたちの絆が刻まれる瞬間だ。札電協青年部の社会貢献活動は、次世代のメンバーたちに襷(たすき)を渡しながら続いていくだろう。厳寒の夜を照らす温かい光には物語がいっぱい詰まっている。
作業風景
短冊(写真は、イルミネーション取り付け作業と子どもたちが願いを書いた短冊)
 札電協青年部のホームページは、http://satsudenkyoseinenbu.com/


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