2012年度に札幌市から市議会全7会派に支出された政務調査費と政務活動費の収支報告が31日から公開された。交付された総額は3億2640万円で会派の使用総額は3億226万円、利用しなかった2400万円あまりは市に返還された。政務調査費の使途を市民目線で検証している北海道市民オンブズマン連絡会議のメンバー4人は、公開が始まったこの日午前10時に市役所15階の議会図書室に集まり、収支報告書や支出先領収書コピーなどを閲覧した。(写真は、公開が始まった2012年度政務調査費・政務活動費の収支報告書を閲覧する北海道市民オンブズマン連絡会議のメンバー)
 
 会派所属の市議に支出された政務調査費(今年3月からは地方自治法改正で政務活動費)は、月額40万円で年間480万円。12年度に市から交付された政務調査費と政務活動費の総額は3億2640万円で利用されたのは3億226万円、執行率は92・6%。11年度の執行率は92・4%でわずかにそれを上回った。
 
 公開されているのは、収支報告書と活動概要報告書、1円以上のすべての領収書。領収書の枚数は1万88枚で11年度の9146枚から増えた。
 
 11年度は、事務所費の中に国会議員面会時のお土産代や事務所で使うコーヒー豆代、お茶代、ゴミ袋代などが見られたが、12年度はこうした領収書のコピーは影を潜め、目立つのはガソリン代や新聞購読費、電話代など。
 
 31日午前10時に収支報告を閲覧に訪れた北海道市民オンブズマン連絡会議のメンバー4人は、黒塗り領収書や調査研究費の内訳についてチェックを始めた。
 
 同会議代表の橋本勝三郎氏は、「今年も使途、支出先の検証をする。個人情報保護ということで支払先や受取人を黒塗りにしているケースも多いが、過分な黒塗りがあれば問題だ。私的流用の疑惑があれば独自に調査する。これから4~5回亘って閲覧し黒塗りの件数をカウント、不透明な支出があれば市議や会派に公開質問状を出して回答を求める」と語った。
 
 黒塗りにはなっていないものの、ある会派では上部組織に資料作成や広報費として毎月180万円を支出している例もあり、「業務委託の丸投げが12年度も続いている」(メンバーの1人)と指摘する。
 
 12年度の収支報告書と活動概要報告書は市議会ホームページに掲載しているが、領収書コピーは議会図書室でなければ見ることはできない。ただ、市民の関心は高いとは言えず、昨年に閲覧したのは25人にとどまった。市の議会事務局では公益情報提供に積極協力する姿勢で、閲覧に訪れた市民に領収書コピーの内容について丁寧に説明する方針。「市民の方々も家計簿を見る感覚で気軽に支出の在り方を検証してもらいたい」(橋本氏)としている。


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