北洋銀行(本店・札幌市中央区)は28日、網走市、伊達市と「地方創生に関する連携協定」を締結した。同行と地方自治体との連携協定は34、35件目で地方創生に関する連携協定は24、25件目となる。この日、北洋銀本店のある北洋大通センター4階セミナーホールで協定の調印式が行われた。IMG_8338 (2)(写真は、連携協定締結式。左から網走市・水谷洋一市長、北洋銀・石井純二頭取、伊達市・菊谷秀吉市長)

 協定締結の契機になったのは、北洋銀と北海道二十一世紀総合研究所(本社・札幌市中央区)、コンサルティングベンチャーのルートエフ(同・東京都港区)が共同開発した地域産業分析のモデル地域として両市が協力したこと。

 三社が開発した地域産業分析の手法はILO分析と呼ばれ、自治体の税務データを活用して地域の産業を「インバウンド型」、「ローカル型」、「アウトバウンド型」に分類。付加価値を分析して特徴や傾向を把握するというもの。この手法を確立するために、北海道大学公共政策大学院の石井吉春教授の意見をもとに網走市、伊達市が選ばれ両市のデータによってILO分析手法が構築された。

 北洋銀は、ILO分析によって導かれた両市の強みである農業などの競争力強化を支援、販路拡大やブランド化に向けてホテルオークラ札幌でのフェアなどを随時開催してきた。こうした協力関係をさらに強化、地方創生に向けた取り組みを円滑に進めるため、同行は網走市、伊達市とそれぞれ協定を締結することにした。

 調印式で北洋銀の石井純二頭取は「これまでも両市とは協力関係を築いていたが、地方創生の具体的実現に向けてより一層の協力関係を構築したい」と述べた。また、網走市の水谷洋一市長は「食品加工分野の強化と販路拡大の提案などに北洋銀には尽力してもらった。天都山展望台、オホーツク流氷館建設のために住民参加型市場公募地方債(ミニ公募地方債)の幹事行にもなってもらった。今回の協定締結を契機にそれぞれの知的、人的、物的資源を最大限活用しながら地方創生に向けた取り組みを推進したい」と話した。

 伊達市の菊谷秀吉市長は「我々はデータではなく感覚で戦略を作りがち。今回はデータ分析によって自分たちのマチを見直すきっかけになった。2016年度決算は市民税が過去最高になったが、これは一次産業の伸びによるところが大きい。(ILO分析に基づく産業強化策は)地方のスパイラルを克服するきっかけになると思う」と語った。
 伊達市を含む西胆振地区3市3町では、日本版CCRC構想(高齢者が自らの希望で地方に移り住み、地域社会で健康でアクティブな生活を送るとともに医療介護で継続的ケアが受けられる地域づくり)が進められていることから、北洋銀はデロイトトーマツグループを紹介、市では医療福祉と連携した事業展開も検討していく

 ILO産業分析の開発者の1人であるルートエフの大庫直樹代表取締役は、「ILO産業分析は地域の特徴を明確に浮き彫りにして地域創生戦略を創りだすこと利点がある。伊達市、網走市ともに農業が強みになっており、伊達市は道の駅を起点にした垂直統合戦略で、道の駅には伊達市以外からのお客が全体の3分の2を占めるなど『インバウンド戦略』が実現している。網走市は良質な小豆、長いもなどを強みとしており、小豆は全国流通が始まった。海外販路拡大も進められており『アウトバウンド戦略』が進められるなど、両市それぞれ強みが明確になり戦略が遂行されている」と話していた。
 
 なお、このILO分析は地方創生に関する先駆的取り組みに繋がるとして今年1月、地方創生担当内閣府特命大臣から表彰を受けている。