「初音ミク」のクリプトン・フューチャー・メディア(本社・札幌市中央区)と札幌弁護士会に所属する杉山央(ひさし)弁護士が連携して4月に立ち上げた「アクトナウ」が、注目されている。ネットを通じて資金調達するクラウドファンディングサービスの会社で、すでに3件がこのサービスを使って資金調達に成功した。(写真は、アクトナウの杉山央代表取締役=2015年6月12日、札幌証券取引所で開催された北海道インディペンデンツクラブの講演で)
杉山弁護士は1980年1月札幌市生まれで札幌西高、北海道大学法学部卒、北大大学院法学政治学コース(企業法務)を経て東京の法律事務所に入所。そこでは、ベンチャー企業の設立からIPO(新規株式上場)、上場維持に関する法的支援、VC投資、M&Aなどの業務に就き、2009年にUターンして現在は赤れんが法律事務所の代表を務める。
杉山氏が「アクトナウ」を設立したのは、起業の札幌方式、北海道方式を作るため。杉山氏の問題意識はこうだ。
「例えば北大は5割が道外出身の学生で占められ卒業すると8割の学生が道外に流出する。差し引き3割の人材の債務務超過状態。この状況を何とかしなければいけない。自分たちが住む札幌・北海道を自分たち自身の力で面白くハッピーに創りあげたい」
人材流出を止める、地域で働ける場を作ると多くの政治家や首長、経済人が唱えるが、動きは殆どない。そんな中、杉山氏は35歳という若さで具体的に行動した。起業に理解のあるクリプトン・フューチャー・メディアの伊藤博之社長と共同でクラウドファンディング会社を昨年10月に設立したのだ。クラウドファンディングのクラウドは群衆という意味で日本では首都圏にこうしたサービス会社が多く、アクトナウのように地域に根差した地域密着型の取り組みは国内初だという。
4月からサービスを開始、小樽商科大学の学生が空き家を利用したコミュニティカフェを開くために1ヵ月で30万円の募集をしたところ32万4000円が集まったケースなど既に3件のクラウドファンディングが成功している。
杉山氏はクラウドファンディングで社債発行にも繋げられるようにアクトナウで第二種金融商品取引業やJアドバイザー(東京証券取引所の承認を受けた東京プロマーケットに上場する企業の上場適格性を審査する機関)の取得も検討している。
「アクトナウを通じて、起業を後押し、成長させていく仕組みを創りあげていきたい。そうすれば北海道に残る学生も増えるだろう」。杉山氏と初音ミクの地元愛はどんな花を咲かせるだろうか。