2025年6月下旬から全国公開され、大きな反響を呼んだ映画『でっちあげ〜殺人教師と呼ばれた男』(三池崇史監督・綾野剛主演)。この作品の原作者でジャーナリストの福田ますみ氏の講演会と福田氏と旭川市立北星中学校元校長・金子圭一氏(67)による公開対談が、2025年8月24日(日)午後、旭川市内で開催される。催しのタイトルは、「“でっちあげ” 旭川女子中学生凍死事件」。(画像は、「“でっちあげ” 旭川女子中学生凍死事件」の告知チラシ)
映画の原作である「でっちあげ 『福岡殺人教師』事件の真相」(2009年初版・新潮社刊)は、2003年に福岡で実際に起きた、小学校教師による体罰事件を題材にしたノンフィクション。教師が、「史上最悪の殺人教師」としてマスコミに報道され、停職処分を受け、民事裁判に発展するが、最終的に体罰事件が「でっちあげ」だったと判明するまでの顛末を描いた。このほど公開された映画は、この原作にインスパイアされた三池監督の演出と綾野剛の迫真の演技により、見応えのあるものになっている。
この本の著者である福田氏は、神奈川県横浜市生まれの69歳。立教大学卒業後に編集プロダクションなどを経てフリーとなり、モンスターペアレントによるでっちあげ疑惑を取り上げた先の作品で、2007年に第6回「新潮ドキュメント賞」を受賞。2025年3月下旬には、札幌で開かれた「旭川少女いじめ凍死事件」をテーマにした公開シンポジウムでもパネリストの1人として参加している。
北方ジャーナル誌などが、検証を手掛けている「旭川少女いじめ凍死事件」は、今から4年前の2021年3月下旬、旭川市内の公園で凍死した状態で発見された中学2年の廣瀬爽彩(さあや)さん(当時14歳)が、凄惨ないじめを受け自殺したとされるもの。当時の生徒や教員などの学校関係者がマスメディアで加害者扱いされ、今なお報道被害に苦しんでいる点は、福田氏が扱った福岡の事件と共通点がある。地元メデイアが取り上げた後で大手週刊誌が報じ、メディアスクラムが始まったところも同じだ。
異なる面もある。2003年の事件当時は「殺人教師」という文言が飛び交ったが、実は誰も亡くなっていない。これに対し、2021年の事件では、中学校3年生になる直前の14歳の少女が真冬の旭川で自宅から失踪し、遺体で見つかったという痛ましさがある。「旭川事件」でバッシング対象の1人となった北星中学校元校長の金子氏と、過去の報道被害を紐解いた福田氏がどんなことを語るのか──。今回の催しは、似た構図の事件を題材にした映画の公開を機に、地元で今一度、真相を探ろうというシンポジウム。主催は、「報道被害者支援・札幌旭川市民の会」。開催場所は、旭川勤労者福祉会館大会議室。13時に開演し、17時に終了予定。入場無料。対談のコーディネーターは、北方ジャーナル誌の工藤年泰編集長が務める予定。