家族の絆が生んだ白老銘菓、「まいこのマドレーヌ」物語

社会・文化

 2020年開業のウポポイ(正式名・民族共生象徴空間)があることで知られる胆振管内・白老町。以前から白老牛や虎杖浜たらこといった食の特産品でも有名だが、長年親しまれている「まいこのマドレーヌ」という洋菓子も欠かせない。地元白老町産をはじめ北海道の素材にこだわり、誰もが安心して食べられるようにと無添加にもこだわった、おいしさはもとより、優しさのこもったスイーツだ。(写真は、「しらおい菓子工房まいこ」本店)
(写真は、「まいこのマドレーヌ」)

「まいこのマドレーヌ」を手掛けているのは、しらおい菓子工房まいこ(白老町字石山17-183)。商品名にも店名にもある“まいこ”とは、店主の佐藤朋子さんの娘さんの名前。1985年、自閉症のまいこさんが、将来施設に入らず一緒に暮らせるようにと、「まいこのマドレーヌ」をはじめとする安心安全なお菓子を一緒に作り販売できるような工房を開いた。そして現在、このお菓子は全国にも沢山のファンを持つ白老銘菓となっている。

 創業当初、「まいこのマドレーヌ」はおいしさ、品質は太鼓判の仕上がりなのだが、日持ちが短いことがネックで、あまり販路を広げられず、白老町近郊以外ではなかなか味わえない洋菓子だった。だが、無添加で北海道産にこだわった食材、丁寧な製法などから生まれるおいしさは、「日持ちは短くてもおいしくて安心できるものを食べたい」という消費者からの支持を獲得。道外百貨店などで実施している、北海道物産展への出店も知名度向上の追い風となって、「エッグタルト」や「アップルパイ」、「スイートポテト」など、人気商品も増えていった。

 丁寧な菓子作りや、おいしいものを求める全国の消費者からの支持もさることながら、今日に至るこのお菓子屋さんの成長を支えているは、家族の絆によるところも大きい。「娘のために」、と始めた同店を朋子さんの夫が支え、時を経て成人になったまいこさんの弟たちもここで働き、「まいこのマドレーヌ」ブランドを、さらにより良きものへと日々注力している。長男は、2017年にJR白老駅前にオープンした2号店・MAIKO`S BAKE(白老町大町3丁目3-11)の店長として、三男は北海道物産展など百貨店の催事担当としてそれぞれ働いている。「次男は別の仕事に就いていますが、お嫁さんは本店で働いてくれています」と朋子さん。

(写真は、MAIKO`S BAKE限定販売の虎杖浜たらことえびのキッシュ)

 ちなみにMAIKO`S BAKEでは、白老牛や、虎杖浜たらことえびを具材にしたキッシュなど、本店にはない限定商品も販売している。そして、現在のまいこさんは、本店の工房でほかのスタッフと一緒に、菓子作りに日々取り組んでいる。菓子工房まいこは、さまざまな菓子とともに爽やかな風も運んできてくれる。

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