札幌市中央区の旧札幌西武跡地などを含む「北4西3地区第一種市街地再開発事業」によって、間もなく解体される北海道建設会館。その西側の壁に、北海道商工会議所連合会会頭・北海道建設業協会会長を歴任した北海道経済の重鎮、故伊藤義郎氏が監修した看板が掲げられている。(写真は、北海道建設会館西側の壁に掲げられている看板)
巨大な看板には、《札幌から全道につながる 北海道新幹線 札幌早期開業を!》という文言とともに北海道新幹線の画像が描かれている。北海道新幹線の札幌駅乗り入れ工事が行われ、市民も新幹線を身近に感じる昨今、北海道新幹線に関わるこうした看板をすっかり見かけなくなったが、ここにはしっかりと残っている。
調べてみると、この場所に北海道新幹線の看板が取り付けられたのは、旧札幌西武が解体撤去され、同会館の西側外壁が見えるようになった2015年頃から。最初の文言は、《北海道新幹線 新函館北斗まで2015年度末開業 札幌延伸の工期短縮を!》だった。
現在の文言に変わったのは、2017年頃。以来、7年間にわたってこの看板は掲げられているが、この文言は当初の案に伊藤氏がチェックを入れたもので、いわば伊藤氏の監修によって生まれた。当初の案は定かではないものの、よく使われていた《北海道新幹線 札幌まで一日も早い開業を実現しよう!》に近いものだった。
札幌商工会議所の岩田圭剛会頭は、「私は当初の文言で良いと思ったが、伊藤さんは文言を一字一句変えて、色使いも変えた。重鎮がそこまで細部にこだわるのかと驚いた」と話す。北海道新幹線札幌駅は、最初のプランでは、現札幌駅から離れた場所に建設することになっていたが、伊藤氏の働きもあって、現駅乗り入れが決まった経緯もある。そんな伊藤氏の北海道新幹線への強い思いが宿っているとも言えそうな看板だが、4月から建設会館の解体工事が始まり、この看板も間もなく撤去されそう。岩田会頭は、「残しておきたいが、大きすぎて収納するところがない」と残念そうに語っていた。