2020年秋から業務を開始した、HBC(北海道放送)の新本社屋に隣接して建設されている新しいビル。既にHBC新本社よりも高くなっているこの鉄骨が取り外され、一からやり直しになるという。そんな中、関係者の間では「また、大成建設か」という声が出ている。(写真は、HBC新本社と建設が進んでいた複合ビル)
2018年10月にオープンした再開発ビル「さっぽろ創世スクエア」。ここも大成建設がメイン業者になって建設した。実は、ここでも鉄骨に関する問題が発生していたという。設計会社と大成建設との間で、鉄骨に関する意見の相違があり、一時期工事が進まなかった。結局、両者は折り合ったが、工事は大幅に遅れた。大成建設は遅れを挽回するために、本社役員を札幌に派遣、作業員を大幅に増やして何とか間に合わせたという。
「鉄骨に関して、また大成建設が問題を起こした」ーー札幌の建設業界では今回の施工不良をそう捉えている。「鉄骨の傾きやスラブ厚(鉄筋コンクリートの床の厚み)が設計よりも薄かったのであれば、補強で対応できるはず。あそこまで鉄骨を組み上げている段階で、解体してやり直すのは通常では考えられない」とある業界関係者は話す。
さらに、監理会社の対応にも疑問があると、その関係者は言う。「監理会社は設計通りにできているかを、その都度確認しているはず。なぜ、この段階になって施工不良だと気付いたのか。もっと早い段階で分かるのではないか」
鉄骨の組み上げは、専門業者が行うが、その専門業者が図面と違う鉄骨が搬入されてきたら気付くはずだとも言う。気付かずに組み上げたとは考えづらく、「相当上からの指示があったのではないか」(関係者)。
大成建設は、施工不良の原因として①鉄骨組み立ての精度不良②スラブ厚精度不良の2点としているが、それだけでは済まない問題が隠されている可能性もある。一度ならずも二度までも、大成建設が札幌で引き起こした鉄骨工事の問題に、下請けを含めた構造問題があるのではないかとみる関係者は少なくない。