コープさっぽろは、福島原発事故による原発への不安が高まっているため脱原発とエネルギーを考える講演会の第2弾として25日、「内部被曝と健康被害」をテーマに講演会を行った。会場となった札幌市北区のコープさっぽろ北12条店2階会議室には、子ども連れの組合員など約100人が参加、放射線治療の専門家である西尾正道北海道がんセンター院長の講演に聞き入った。講演終了後にはチェルノブイリ原発事故以後も続く被曝被害に迫ったドキュメンタリー映画『チェルノブイリ・ハート』の自主上映も行われた。(写真は、講演する西尾正道氏。右は映画『チェルノブイリ・ハート』の一場面)
 
 西尾氏は独立行政法人国立病院機構北海道がんセンター院長で、がんの放射線治療を通じて日本のがん医療の問題点を指摘、改善するための医療を推進している。年間1500人のがん患者に放射線治療をしており、日本のがん放射線治療の第一人者。
 
 西尾氏は「がん細胞に放射線を照射して内部被曝させ治療しているが、がんを治す効果をもっている内部被曝を何も問題にしないのはおかしいと思う」と述べ、「内部被曝は、α線やβ線の粒子線が長く体内に留まり周辺の細胞に影響を及ぼすことが特徴で、がん細胞を内部被曝させるとがん細胞の遺伝子が傷ついて再生できなくなるためにがんが死滅する。内部被曝は長期にわたる継続的で連続的な被曝で、正常な細胞が被曝すると人体への影響は深刻」と警鐘を鳴らす。
 
 放射線は水の電離作用を引き起こすが、人間の体は60%が水でできており、強い放射線は細胞に含まれる水を電離してしまい遺伝子を傷つける作用がある。医療用の放射線は数キロエレクトロボルトだが、今回の福島原発事故によって放出された放射線はメガエレクトロボルトの水準。「人間の体を証券取引所に例えると、数円単位の出し入れをしているところにいきなり百万円単位の出し入れがポンと入ってくるのと同じ。とても対応できないし、このことが大きな問題として語られてない」と西尾氏は指摘。
 
 放射線はウラン濃縮など軍事技術と密接に絡んでおり、放射線の影響を隠蔽する体質は電力業界や政・官界、学界、報道界にも構造的体質として原子力ムラに形成されていると、西尾氏は言及し、「放射線の受忍限度の判断基準がないことが問題だ。基準を考える上で正確なデータを出し、科学的な根拠に基づいて内部被曝を議論しなければならない」と訴えた。
 
 講演後にはチェルノブイリ事故から16年後の2002年にベラルーシ共和国のホットゾーンに住む住民や放射線治療の現場、小児病棟、乳児院などを追ったドキュメンタリー、『チェルノブイリ・ハート』を自主上映、新生児の85%が何らかの障害を持っているなど被曝被害の実態が映像で流された。


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