本サイトの「昭和のビルシリーズ」で掲載した「第2三谷ビル」(札幌市中央区南1西6)が5月末で営業を終えた。最後とみられるテナントがこのビルを後にしたのは5月27日。シャッターが下りた出入り口には、『55年間ご愛顧いただき誠に有難う御座いました』と書かれた白い紙が貼り出されている。錆が浮いたシャッターと紙の白さの対比が歴史を物語っている。
(写真は、南2条通から見た第2三谷ビルと玄関に貼り出されたお知らせ)
第2三谷ビルが建設されたのは、1963年。地下1階、地上7階建て。札幌オリンピックに沸いた街を体感しバブルの喧騒を横目に札幌中心部の動きをじっと見守ってきた。歳月が過ぎてビル内部の廊下、階段、郵便受け、トイレは、昭和の時代を描いたテレビドラマや映画に出てくるような年輪を感じさせていた。
ひとつまたひとつ、年輪を刻んできたビル群が消えていく。第2三谷ビルも早晩、壊されてしまうだろう。昭和のビルの前に佇むと不思議と30年前、50年前の街の息吹が思い出されてくる。昭和のビルが持つそんな力が人を惹きつけるのかもしれない。