【昭和のビルシリーズ】札幌・電車通りに佇む昭和の時代感、「第2三谷ビル」解体近し

社会・文化

 札幌中心部を走る札幌市電の車窓から見える昭和の香り漂うビル、「第2三谷ビル」(札幌市中央区南1西6)。電車通りの中でもひと際年輪を感じさせるビルだ。解体も近いとされるが、時代に抗うように佇む姿が異彩を放っている。昨年反響のあった札幌市内にある昭和のビルをシリーズで紹介していく(不定期)。IMG_0435(写真は、仲通り側から見た第2三谷ビル)
IMG_0426(郵便ポストはまさに昭和の時代感満載=写真)

 第2三谷ビルが建設されたのは、1963年。今年で竣工55年になる。地下1階、地上7階建てで間口は狭いが、電車通りから仲通りまで続く奥行の長さは、まさにウナギの寝床のようなビル。
 電車通り側の正面玄関は、あまり年輪を感じさせないガラス張りの顔をしているものの、裏口と壁面は昭和の趣が広がる。とりわけ壁面は、高度成長からバブルを経て平成に至るまでの歳月を染み込ませたような寂寥感を漂わせる。

 ビル内部の廊下、階段、トイレはドラマや映画のセットであるかのように見えてくる。かつてのオフィスビルは、カフェや飲食、雑貨屋などのユニークなテナントが集まる個性派ビルになって久しいが、そんなテナントもひとつ、ふたつと去り今や4階から上は空きフロアで、解体は近いという。

 このビルに集った人たちが、ビルの歴史を作りマチの賑わいを演出してきた。櫛の歯が欠けたようなビルの明かりは余命を知らせているようだ。

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