コープさっぽろ(本部・札幌市西区)は21日、札幌市中央区の京王プラザホテル札幌で食育研究会を開催した。2013年7月から始まったこの研究会は、今回が11回目。関係者約300人が参加した。(写真は、子どもたちが弁当を作ることの意義を訴える竹下和男氏)
最初の講演は、オフィス弁当の日代表の竹下和男氏でテーマは『子どもを台所に立たせよう』。竹下氏は元教員で全国の小中高などで年間200回近く講演、学校教育の一環として子どもたちに月に1回、自分たちで作る弁当の日を設けることを提唱している。
竹下氏は、親が食事を作らずにまともな子育てをしていない家庭が増えてきた現状を憂い、「人は置かれた環境に適応するため、親が食事を作らなければ子どもたちが大きくなっても食事を作らなくなってしまう。しかし、人は環境を変える脳を持っており、1人ひとりが考え方を変えれば食事を作ることの大切さ、親子の絆など生きるのに必要なものを習得することができる」と強調した。
月に1回、学校で弁当の日を設けて家で子どもたちが食事を作るようになると、「余った分を親たちが食べるようになりそこで会話が生まれる。子どもを台所に立たせることは子どもの未来への投資」と話した。
続いて、6次産業のパイオニア的な存在として知られるモクモク流地域産業製作所(三重県伊賀市)会長の木村修氏が、『食育による地域活性化の取り組み』をテーマに講演した。
(写真は、6次産業の成功成功例として注目されているモクモク手づくりファームグループの木村修会長)
木村氏は、JA三重県経済連で豚肉の販売を手掛け、当時のジャスコ(現イオン)に日参してもなかなか売れなかったことから、ブランドの大切さを実感。JA仲間3人と伊賀の養豚農家などと36歳の時(1987年)にハム工房モクモクを設立、創業した経緯を話した。
「1年目から倒産の危機を迎えた。おいしい手作りハムだと思っていたのに計画の3分の1しか売れなかった。追い込まれたときに地元の幼稚園から1本の電話が入った。それは『ウインナーづくりを体験させてもらえないか』というものだった」と語り、「実際に体験してもらったら園児の母親たちが笑顔と感動を露わにした。私はドキッとして『これだ』と思った」と述べ、それが今日の事業に繋がった源流だったことを説明した。
木村氏は6次産業化のポイントとして、「お客様に認知してもらい、理解してもらい、共感、応援してもらい、その応援を反復継続してもらうこと」だとして、「良いものでも伝えないと理解されない。モノを売る時代から考え方を売る時代、価値競争の時代に入っている」と話した。
木村氏は、温泉宿泊施設を備えた農業公園も95年から運営しているが、「この公園を作るために全国を見て歩いたが、北海道のグリュック王国やカナディアンワールド、夕張石炭の村などを残念ながら反面教師にして作った。ものづくりのストーリーがわかる岩手県の小岩井農場が一番参考になった」と述べていた。
モクモク手づくりファームは現在、グループ全体で正職員150人、パート200人、アルバイト650人の合計1000人が働いており年商は約55億円。