ゴンドラなき観覧車の残照 ウイングベイ小樽で悲哀のシルエット

社会・文化

 秋の残照にシルエットのように浮かぶ観覧車。しかし、そこにはゴンドラはもうない。小樽市築港にある大規模ショッピングセンター(SC)、ウイングベイ小樽では季節のもの哀しさを一層募らせる光景が広がっている。雪が降る前、このシルエットも地上から消えてしまう。IMG_8418(写真は、秋の残照に浮かぶシルエットの観覧車)

 ウイングベイ小樽は、かつての大手流通、マイカル(旧ニチイ)が中心になって小樽市築港の貨物ヤードを利用、1999年に開業した大規模SCで当初は「マイカル小樽」と呼ばれていた。事業主体はマイカルグループのほか地元企業が出資した小樽ベイシティ開発(OBC)。そのOBCが2000年11月に設置したのが大観覧車「レインボークルーザー」。
 
 観覧車の直径は50mで最高の高さは58m、北海道では2番目の大きさだった。
マイカル小樽の賑わいとともにこの大観覧車も人気を呼んだが、マイカルの破綻や景気低迷の影響でSC、大観覧車共にその後、長いトンネルに入ることになる。
 2011年、故障もあって大観覧車は営業を停止、夜間のライトアップのみでわずかにその役割を果たしていた。それから4年、遂に大観覧車の買い手が見つかった。今年9月、正式に高松市の遊具開発会社「シーキュー・アメニック」が取得、同社は解体撤去して海外に売却する予定だ。
 
 鉄くずに成り果ててしまうよりも海外で第二の人生を送る方が大観覧車にとっても小樽市民にとっても喜ばしいこと。それは分かっていてもゴンドラが消え、骨組みが日に日にやせ細って行く姿は寂しさを募らせる。
 誕生してから15年、大観覧車も十分に仕事ができなかった悔しさを滲ませていることだろう。また1本、また1本と骨が消えていくたびに大観覧車からむせび泣く声が聞こえてきそうだ。

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