ソチ冬季五輪のスキージャンプで2つのメダルを獲得した葛西紀明選手(41)と7位入賞を果たした伊藤有希選手(18)の受賞・入賞祝勝会が1日午後6時から札幌パークホテルで行われた。北洋銀行の石井純二頭取や公益財団法人札幌スキー連盟の伊藤義郎会長ら祝勝会発起人会の主催によるもので、約700人が参加、2人の活躍を称えた。ギネスワールドレコーズジャパンの代表者から葛西選手に3つのギネス世界記録認定証も授与され、会場は大きな拍手に包まれた。(写真左は挨拶する葛西選手と伊藤選手、写真右は3つのギネス世界記録認定証を持つ葛西選手)
お祝いに詰めかけた700人の参加者が待ち受ける中、葛西選手の応援ソングである『ワンダ―ジャンプ』の曲とともに両選手がスーツ姿で入場、鳴りやまない拍手を受けてはにかむような表情を見せながら2人が登壇。
発起人を代表してまず石井頭取が挨拶。「葛西選手は1972年、札幌オリンピック開催の年に生まれ7回目の出場で実力を発揮されたまさにオリンピックの申し子。次のオリンピックでは金メダルを狙って欲しい。今回、所属する土屋ホームの部長に昇進されたが、次は金メダルで社長就任を」とユーモアを交えて話し、伊藤選手についても「大変感動したのはワールドカップ最終戦で2位に入って観客やテレビに向かってグローブに『応援ありがとう』と書いて手を振っていたこと。伊藤選手は伸び盛りで来年にはワールドカップ優勝が目前に迫っている。是非次のオリンピックでメダルを目指していただきたい」と語った。
所用で欠席した高橋はるみ知事に代わって川城邦彦環境生活部長が「2人の活躍は北海道、日本中を湧き立たせた素晴らしいもので大きな感動をいただいた」と知事のメッセージを代読。上田文雄札幌市長は「葛西選手のレジェンドの名前に相応しい活躍に敬意を表したい。伊藤選手とは5年前に第80回宮様スキー大会のトークショーでご一緒したが、その時中学2年生ながら堂々たる態度でジャンプに対する夢を語ってくれた。その後大きく成長されたことを目のあたりにして感動している。芯の強い、この道を行くぞという模範的選手だ」と語ったうえで「私が金メダルを差し上げたいのは土屋ホームの皆様方。辛抱に辛抱を重ねて2人をしっかりと支えてこられたことが源」と挨拶した。
所属する土屋ホームの持ち株会社である土屋ホールディングスの土屋公三会長は、「13年前、60歳になったのを機に創業経営から組織経営に切り替え、社長を退いて会長になったが、その時に社長に指名した川本謙君(現副会長、スキー部総監督)がスキー部を創部すると聞いた。当社で大丈夫かと思ったが、社業を任すことにして会長になったのに口出ししていけないと思い、ある先輩に相談すると『給料半分になってもスキー部を存続させる決意があるなら引き受けるのも良いのでは』とアドバイスを受けた。そしたら、リーマンショックや減損会計で本当に私の給料が半分になってしまった」とエピソードを紹介、「葛西、伊藤はジャンプで成績を飛ばしているのだから土屋ホームも業績を飛ばすように頑張りたい」と会場を沸かせた。
花束贈呈の後、葛西選手は、「土屋ホーム全社員の皆さんに感謝しています。金メダルの目標に向かって頑張っていくので変わらぬ暖かい応援をお願いします」と語り、伊藤選手も「4歳の時にスキーを始め今シーズンが一番充実したシーズンでした。オリンピックは悔しい結果に終わり、ワールドカップも内容、結果に満足がいっていないので来シーズンもさらに上を目指して努力していきたい」と闘志を漲らせていた。
その後、会場ではギネスワールドレコーズジャパンの代表者から葛西選手に①冬季五輪7回の最多出場②ワールドカップジャンプ41歳219日の最年長優勝③冬季五輪ジャンプ41歳256日の最年長メダリストの3つのギネス世界記録認定が報告され、その場で3つの認定証が授与された。
葛西選手は、「昨年夏くらいからギネス世界記録を狙っていたが、3つも貰えるとは思っていなくて驚いている。今後もこれを励みに一生懸命頑張っていきたい」と次を目指すことを力強く宣言していた。