「北方ジャーナル」2025年5月号が今日から店頭に並んだ。今月のトップは本誌独占、先月号で報じた「札幌の人気フットサルスタジアムに異変」の続報だ。昨年9月、札幌市東区にある「フットサルスタジアム蹴」を運営する株式会社セブンスギアの業務を取り仕切っていた常務取締役が突如解任され、代表取締役が交代する中で、蹴や関連施設で働いていたアルバイトや正社員の大半が説明がないまま出勤停止となり、当時からこれまでの給料が払われていないことが取材で分かった。新たに代表取締役となった人物が差押債権取立請求訴訟で一昨年に札幌地裁から支払い命令を受けていた不祥事も明らかに。市内で屈指の人気を誇るフットサル場でいったい何が起きているのか。(画像は北方ジャーナル5月号の表紙)
3月23日夕、札幌市内で「これからのいじめ対応と週刊文春が作り上げた『旭川14歳いじめ凍死事件』」と題した公開シンポジウムが開かれた。この事件は2021年3月下旬、旭川市内の公園で凍死した状態で発見された中学2年の廣瀬爽彩さん(当時14歳)が凄惨ないじめを受け自殺したとされるもの。今回のシンポには、廣瀬さんが入学した旭川市立北星中学校で当時校長を務めていた金子圭一氏(65)など6人が登壇。マスコミやネットで「隠蔽校長」の烙印を押され、バッシングを受けてきた金子氏が初めて公の席で語った内容とは。
一連の疑惑の表面化から丸4年が過ぎた、北海道立江差高等看護学院のパワーハラスメント問題。第三者調査で事実認定された事案の多くが被害回復に到った一方、最も深刻な被害である在学生の自殺事案は未だ解決をみていない。遺族が道を訴えた裁判が非公開で進む中、ここで改めて事件当時をよく知る元職員の証言に耳を傾けてみたい。犠牲となった学生とのやり取りを振り返りつつ、その人は断言する。「亡くなった原因はパワハラ以外にあり得ない」──。
逮捕・起訴されて裁判を待つ人たちや有罪が決まって懲役刑などを受ける人たちが過ごす刑事施設で、静かな変化が起きている。外部の人たちが施設内へ日用品や食料品を差し入れる窓口が、この春までに順次休止されることになったのだ。受刑者などの権利が充分に尊重されなくなるおそれがある事態だが、なくなった窓口の復活は簡単ではなさそうだ。不意の運用変更には、どういう事情があったのか。
年度が改まる直前の3月中旬から下旬にかけて、地元・札幌の裁判所で刑事事件の無罪判決が相継いだ。大きく報じられた事件にからむ事実上の一部無罪判決は確定が持ち越されたものの、過失運転や不同意性交等に問われた被告人らの潔白は捜査側も認めざるを得ず、年度明けと前後して無罪が確定した。いずれのケースでも、問われているのは捜査のあり方。長期間の身柄拘束や結果としての公判請求は、本当に必要だったのか。
千歳市内で次世代半導体の量産をめざすラピダスが4月1日、2ナノ半導体の量産に向けた試作を始めた。政府から巨額の支援を受け“国策企業”としての稼働だが、量産化にともなう環境への負荷や道民生活への影響などは示されないままだ。ラピダスの稼働にともなう北海道の電力事情の変化もそのひとつで、企業側から今後の電力需要をめぐる詳細な情報提供はなされていない。こうした状況に対し、環境工学などの研究のかたわら、自然エネルギーの普及促進活動に奔走してきた山形定さんは、「半導体デバイスの製造プロセスは複雑・微細化し、電力消費量が増えていく。情報開示が不十分で確度の高い推定はできないが、ラピダスの消費電力は道内需要の10%を超える可能性もある」と指摘する。
このほか“地域金融機関のご意見番”として活躍し急逝した小樽商大の齋藤一朗教授の追悼記事、災害に強く利用者目線を追求したインテリジェントホスピタル、カレス記念病院のオープンレポート、国土交通省が公表した「公示地価」から浮かび上がった実態を追った「シリーズ・住宅不動産情報」などもオススメ。道内の事件、話題が詰まった北方ジャーナル5月号のお買い求めは、離島にいる方も都会に住んでいる方もお近くのセイコーマートへ。大手書店、アマゾンなどでも購入可能。北方ジャーナルへの問い合わせや注文などは、右側下にある同誌のバナーをクリック。
※5月号主要コンテンツ
【報道】
■札幌のフットサルスタジアムに異変(2)──乗っ取りで追い出されたアルバイトの若者が告発
■告発・絶望の学府(37)──学生自殺で元職員が重要証言。江差パワハラで教員ら虚偽報告か
■堀の中に静かな動揺。刑務所など差し入れ運用変更、敷地内購買窓口が相継ぎ休止
■「旭川少女いじめ凍死事件」シンポ報告 「到底容認できない捏造報道、隠蔽しているのは旭川市教委」
■「今そこにある“隠れ冤罪”」前年度末に相継ぎ言い渡し、不同意性交などで判決確定
■ラピダスは原発再稼働の呼び水か。電力の大量消費が生み出す道内経済の負のスパイラル
◾️詐欺破産で起訴の人物が手掛ける遠軽町での風力発電に道風発問題ネットが「待った!」
【ニュース】
■札幌地検の事務官に「減給」処分 即日報道発表も会見は撮影制限
■新幹線残土の粉塵に含まれるヒ素の測定を求め住民団体が札幌市に陳情
■ゲーム同人誌で活躍し急逝した荒木聡さんを偲ぶトークイベントを開催
【シリーズ・住宅不動産情報】(29)──国土交通省が「公示地価」を公表
■「観光、ラピダス、エスコン」が牽引、千歳市商業地が上昇率で上位を独占
【追悼】──急逝した“地域金融機関のご意見番”
■アカデミズムと社会が交わる領域で本領を発揮した小樽商大の齋藤一朗教授を悼む
【医療】──「カレス記念病院」がオープン
■災害に強く利用者目線を追求したインテリジェントホスピタル誕生
【企業】10万点超えの豊富な品揃えで「道北の全魚種」に対応
■「つり具センター旭川店」が地元の熱い支持でリニューアルオープン
【企業】規格外じゃがいもをクラフトビールに
■コープさっぽろ・網走ビール・キリン3者がベジビール開発
【地域】大通公園のシンボルが文化財に
■さっぽろテレビ塔が3月、国の登録有形文化財に認定
【イベント】──前例なきコンパクト菓子博にも挑む
■水上実行委員長に訊いたあさひかわ菓子博の魅力
【Agri Report】──北の大地を拓く新・農業人【3】
■牛乳販売店の息子が北海道で開眼した家畜福祉と有機栽培。中川町の酪農家・川和秀仁さん
【観光】2025春の観光情報
■“ひかり”が満ちる北の大地へ
【長期連載】
●ルポ「ひきこもり」(116)──「小樽不登校・ひきこもり家族交流会」の現在【2】
●戦争遺産をめぐる旅(113)──崩壊危機の墓石群が訴える平和 大阪城近くの「真田山旧陸軍墓地」