道警の元総務部長佐々木友善氏(67)が、道警の報償費を利用した裏金作りに関する書籍で名誉を毀損されたとして、北海道新聞社と同社記者2人、 本を出版した講談社、旬報社に損害賠償などを求めた訴訟の上告審で最高裁第一小法廷は、裁判官全員一致で上告を棄却した。棄却は16日付け。これによって佐々木氏の勝訴、道新側の敗訴が確定した。(写真は佐々木友善氏)
この裁判は、2006年5月に佐々木氏が提訴。道新取材班の著作による「追及・北海道警『裏金』疑惑」(講談社文庫)と同班らの共著「警察幹部を 逮捕せよ!泥沼の裏金作り」(旬報社)の2冊の中にある佐々木氏の裏金対応に関する4カ所の記述部分が名誉毀損に当たるとしたもので、道新と書籍を書いた 道新記者の高田昌幸氏、佐藤一氏の2人、出版社らに慰謝料600万円と本の回収、道新への謝罪広告の掲載を求めていた。
提訴から3年後の09年4月に札幌地裁(竹田光広裁判長)1審判決があり、記述の一部を「真実と認めるに足りない」として、全被告に計72万 円の賠償を命じ、本の回収や謝罪広告については認めなかった。判決では原告・被告の訴訟費用について原告が9割を負担するものとした。
その後双方が控訴。昨年10月26日の控訴審(井上哲男裁判長)判決では、一審判決をそのまま踏襲、原告勝訴となった。判決を不服として原告、被告双方が上告していた。
最高裁が今回、棄却したことで道新敗訴、佐々木氏の勝訴が確定する。
佐々木氏は、「主張が認められて嬉しく思う。社会性のある道新は、二度とこのようなことを繰り返さないで貰いたい。多くの読者、道民のためになる判決だと思う」とコメントした。