東日本大震災の影響で広告出稿が減少している中で、道内の地場代理店であるノヴェロがジャスダック上場・総合商研と提携するという噂が駆け巡っている。ノヴェロの田島雅史社長は「全くない」と全否定で噂の火消しに躍起になっている。


 東日本大震災が発生して以降、テレビCMはAC(公共広告機構)に差し替えられて企業CMは大幅に減少しているほか、新聞チラシではパチンコ業界と不動産業界は3月中広告出稿をオール自粛している。
 このため「3月の売り上げは前年同期の4割減になる」(某代理店社長)というところもある。
 ノヴェロは、道内の中堅広告代理店で全道展開している老舗。
 同社と総合商研の接点は全くなかった訳ではない。
 語るのは、業界の事情通。「総合商研は、新聞やテレビ局の広告出稿に欠かせない口座を欲しがっている。以前、口座を開こうとしたら大手代理店から横槍が入って口座を作れなかった。それで、ノヴェロや新生広告社など口座を持っている代理店と持ち株会社を作らないかと話を持ちかけている」
 総合商研はジャスダック上場で商業印刷を主力にしている。広告代理業とデサイン業、印刷業を一体化した業態で年商は約118億円。チラシや口座が必要のない広告は手がけているが、新聞やテレビ向けに出稿ができるようになれば新たに展開の可能性も広がる。
 ノヴェロの田島社長は、「総合商研とは『資本を出し合って別立ての組織を作れば面白いね』という話をしたことはあるが、具体的に動いていない。今後も含めて提携などは全くない」と業界に広がる噂を打ち消す。
 道内の広告代理店業界では、トップの電通北海道が売上高100億円の大台をキープできるかどうかと言われ、再編が進むという見方は根強い。ノヴェロを巡って流れる噂は、業界再編圧力がより強まっていることを示しているようだ。


この記事は参考になりましたか?