酪農学園大学やとわの森三愛高校を運営する学校法人酪農学園は、大学の校名を「北海道三愛大学」に変更する方針を引き続き堅持し、数年後には実現したい意向だ。大学入学者の減少が続き、「酪農」の冠が付いていては受験者の広がりが見込めないため。


 酪農学園大は来年度から学部改革を実行に移し、これまでの3学部8学科から2学群5学類に移行する。酪農、獣医、環境システムの3学部を農食環境学群、獣医学群の2学群にして縦割りから横串を通した体制にする。また、短大は2011年度を最後の募集として12年度に廃止する。1960年に開学して以来の大再編となる。
 当初は、この大学改革にあわせて校名も「北海道三愛大学」に変更する予定だったが、教授会や大学OB会などからの反対が多く、「引き続き検討する」ことで先送りされた。
 酪農学園は、創立者の黒沢酉蔵が「健土健民」「三愛主義」「実学教育」を建学の精神として1960年に開学。三愛主義はデンマークが敗戦の後、再興の精神的支柱にしたもので、北海道はデンマークをモデルに復興する思いを込めて導入したものだ。
 既に高校にはその名前が冠されており大学も「三愛」を冠することで受験者の幅を広げようと狙ったもの。
 理事長の麻田信二さんは、「この大学に高校生たちがいかに関心を示してくれるかが大事。今の大学名では受験者の広がりが限られてしまう。高校生の中で農業や酪農を目指す人は一握りしかいないし、そうした高校生は大手私大の農学部などに進学する。如何に差別化して受験者を確保するかは、大学経営の根幹」と言う。
 大学関係者の間では、今後生き残れる大学として「北海学園」「天使大学」「北星大学」「札幌国際大学」などとともに「酪農学園大学」も掲げられている。酪農学園大が生き残ることができる理由として「実学重視」を大学関係者は語る。
 しかし、麻田理事長はこれにも懐疑的だ。「確かに実学重視で私も少子化の時代になっても生き残っていけるとは思う。ただ、大学関係者の見る眼と高校生たちの見る眼は違う。酪農の名前が付いていると関心を示さない高校生が多いのが現実」と将来への不安を隠さない。
 小、中、高の学校統廃合が進んでいるのに道内大学ではまだ統廃合は進んでいない。しかし、北海道東海大旭川キャンパスの閉鎖など再編はジワジワと間合いを詰めている。「5年後には大学統廃合は現実にものになっているだろう」と麻田理事長は予見している。


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