数年前から移転構想が出ていた国家公務員共済組合連合会(KKR)札幌医療センター斗南病院の移転先が、ようやく道庁本庁舎北西の道有地に固まった。現在、道はこの土地を民間駐車場会社に賃貸しており、道には年間4000万円の賃貸収入が入っている。道は50年間の定期借地権を設定、同病院は4年後に新病院を完成させる。しかし、最大の懸念事項は政権交代。同病院は、財務省とKKRの折半所有のため政権の行方によっては流動的になる要素も残っている。(写真左は現在の斗南病院。写真右は移転先となる北4西7の土地)
札幌市中央区北1条西6丁目にある斗南病院は、土地・建物がKKRと財務省の折半所有。敷地面積2803㎡の土地に本館(地下1階、地上6階、延床面積8500㎡)と新館(地下1階、地上8階、同5600㎡)が繋がって建っており本館は1961年に建設され51年目を迎えている。
建物設備の老朽化が進んでいるため、数年前から建て替え構想が検討されていた。
今回、KKRと道とで基本合意し民間駐車場として利用されている北4条西7丁目の土地3319㎡に同病院が移転することが固まった。
この土地は、札幌厚生病院が移転することに伴って道が取得したもので、当時の堀達也知事と北海道厚生農業協同組合連合会の内山和之会長との間で売買され、道の取得費用は84億円だった。
移転についてKKRと道は基本合意したが、財務省の正式決定はまだ先。2013年1月に内示を受け、3月に正式承認される予定だが、懸念されるのが政権交代。年内解散の可能性が高まる中、民主党政権が交代すればずれ込むか白紙になる可能性も残されており流動的だ。現在、斗南病院が建っている土地についても売却するのか国やそれに準ずる機関が利用するのかも決まっていない。
斗南病院の移転構想が浮上した数年前、財務省は病院経営が赤字では認められない姿勢を示していた。当時は赤字が出ていたため加藤紘之病院長(71)のもとで黒字化を目指して改革を推進、現在は利益体質が構築されているという。加藤紘之病院長は、北大第二外科教授や北大病院長を経て04年4月に斗南病院長に就任、現在8年目。新病院の建設決定が勇退の花道になる見通しだ。