北海道大学病院地域健康社会研究部門は17日、主に企業に勤める役職員を対象に医療セミナーを開いた。同病院の地域健康社会研究部門は、北大病院と地域との連携を強める目的で今年に入ってこれまでに15回の企業主催医療セミナーを開催している。今回は、同部門が主催し、福田諭北大病院長が『感覚器障害の原因と治療』をテーマに講演、約100人が参加した。(写真は、講演する福田病院長)
福田氏は1976年北大医学部卒。96年に同大医学部耳鼻咽喉科助教授、2001年に耳鼻咽喉科・頭頚部外科学分野教授に就任、10年4月から北大病院病院長にも就いている。
福田氏は見る、聞く、話すというコミュニケーションを司る頭頚部の障害について、ビデオ映像や実際に音を流しながら予防とともに再建手術の現状について分かりやすく解説した。
老人性難聴は、耳の奥で神経がやられてしまう内耳性難聴のため治りづらいが、人工内耳手術で治る時代になっていることや喉頭がんで声帯を取ってもリハビリで代用音声を獲得することができるようになっていることを紹介。
舌がんでは、チーム医療によって他の部位から舌の再建手術も行えるようになっており、神経を縫合することで食べたり飲んだり話したりすることも可能と報告した。
また、北大で喉頭がんの手術を受けた患者らの集まりである北鈴会が、これから手術を受ける患者との交流など社会連携で大きな役目を果たしているとした。
約1時間の講演の後、会場からは『耳鳴りは完治しますか』、『リハビリはいつから始めますか』などの質問も寄せられた。