「北のミュージアム散歩」は、道新文化センターのノンフィクション作家を育成する「一道塾」(主宰・合田一道)の塾生が書いた作品を連載するものです。道内にある博物館、郷土歴史館、資料館などを回り、ミュージアムの特色を紹介しながら、ミュージアムの魅力やその存在する意味を問いかけます。
第97回は、当別町の「ロイズカカオ&チョコレートタウン」です。ぜひご愛読ください。
(合田一道)
■第97回 ロイズカカオ&チョコレートタウン
-当別町でチョコレートを巡る旅-
ロイズカカオ&チョコレートタウン(外観)
株式会社ロイズコンフェクトは、2022年(令和4年)に自社工場に併設した体験型施設「ロイズカカオ&チョコレートタウン」を開設。当別町に新しい観光名所ができたことに伴い、JR札沼線にロイズタウン駅が誕生した。工場は駅から徒歩約7分のところにある。
ロイズは1983年(昭和58年)に札幌市東区にて創業。チョコレートづくりに関しては、「クオリティ」、「オリジナリティ」、「プライス」の3つの理念を重視している。創業当初は、板チョコレートやクッキーを中心に製造販売していた。1995年(平成7年)、現在の看板商品である生チョコレートの通年販売を開始。本場の欧州に負けない、「本物のチョコレートづくり」にこだわり続けることで順調に業績を伸ばし、4年後には当別太美地区に工場を移転。さらに2008年(平成20年)、北区あいの里にも工場を始動した。
館内の見学はエレベーターで3階まで行き、自社カカオ農園「ロイズカカオファームinコロンビア」の再現コーナーから始まる。カカオ豆の栽培から出荷や成分、歴史についてのパネルや映像にて説明し、カカオ豆の天日干し作業体験、農園スタッフの1日などを紹介をしている。「チョコレートを、自分たちの手で育てたカカオ豆からつくりたい」という考えから、2014年(平成26年)に南米コロンビアのカルダス県ネイラ村にて開園。園内は、敷地面積21ha、カカオ約18000本、スタッフ5人で構成。ゼロからの農園づくりであったため、シェードツリーとして植えたバナナの木の全滅などの災難があったが、地元の人達と協力し、学校への設備投資・援助も行い、地元スタッフとそこに暮らす人々とともに農園と地域を育んでいる。
館内の展示物1:カカオファームゾーン
次のコーナーは工場体験ゾーンである。カカオ豆がチョコレートの主原料であるカカオマスになるまでの工程を、パネルや模型、映像を通して説明している。さらに、窓越しから、カカオ豆の集塵装置や加工プラントなどの加工の様子が見学できる。また、工場内に入るときの注意事項をパネルにて説明。専用の制服と靴の展示もあり、疑似体験だが工場の制服姿での写真撮影もできる。
工場体験ゾーンの終わりに、ロイズシアターがある。ここでは工場内の様子を、約4分間のアニメーションで上映している。
シアターのすぐ隣は、プレイエリアである。ここでは、チョコレート製造からロイズチョコレートが完成するまでを、ゲームやクイズを通して楽しく学べる。パッキングコーナーでは、無料で1個チョコレートの試食ができる。
プレイエリアを出ると、ロイズコレクションストリートになっている。両壁には、大正中期から平成中期にかけてのチョコレートラベルが展示している。これらは船医の森部一雄(故人)が世界各地を巡る中で収集した、約55カ国3500枚以上のコレクションの一部である。彼が生涯で食べたチョコレートは、約1.2tと言われる。
館内の展示物2:工場体験ゾーンのプレイエリア
ロイズミュージアムに入ると、右側は木彫り熊が約100点あり、左側はツールド北海道に関する展示である。中央には日米の蒐集家が集めた蓄音機、ラジオ、ジュークボックスが並んでいる。奥に進むと、当別町やロイズ工場周辺を描いた絵画、海外で撮影したオーロラの写真の展示がある。
ミュージアムの隣はワークショップとなっていて、自分だけのオリジナル板チョコレートを作る体験コーナーである。体験料金は1人1500円。
さらに進むと、セドリック&エディ・ヴァン・ベルコレクションがある。ここには、チョコレートの歴史に関するコーナーで、チョコレート作りの道具やポスターを、ラベル、箱、缶、食器などを数多く展示している。
最後のコーナーは、ロイズヒストリー&セミナールームである。ここでは、ロイズの歴史や過去に放送されたCMを流している。また、壁一面に今まで発売された商品のパッケージを展示している。
館内の展示物3:ロイズヒストリー&セミナールーム
1階は製造ラインの見学と売店となっている。ロイズオリジンチョコレートなどの製造工程を間近に見学でき、壁に作業の内容を説明している。売店には200種類以上のチョコレートや焼き菓子、当店限定のパンやピザ、ソフトクリームなどがあり、商品が充実している。近くに休息スペースがあり、過ごしやすくなっている。
庭はローズガーデンとなっており、6~7月が見頃である。
利用案内
住 所:〒061-3775
当別町ビトエ640-15
電話番号:0570-055-612
開館時間:10:00~17:00(最終入場は15:00まで)
休 館 日:不定休
入 館 料:大人(高校生以上)1200円 小人(4才~中学生)500円 小人(3才以下)無料
障害者(手帳提示必要)500円(付き添い1人まで500円)
アクセス:JRロイズタウン駅より徒歩7分、駅より無料送迎バスあり
付近の見どころ:北欧の風 道の駅とうべつ
2017年(平成29年)にオープン。姉妹都市スウェーデンのレクサンド市との交流が深く、ものづくり体験や食のイベントなどを数多く企画し、地域の交流スペースになっている。
文・写真:大渕 基樹