自民党道連によるTPP(環太平洋経済連携協定)情勢報告懇談会が15日、札幌グランドホテルで行われた。会場には、自民党TPP対策委員長の西川公也衆議や今津寛党道連TPP問題対策本部長など札幌地区選出衆議や道議らが並び、詰めかけた農業団体関係者、医師会関係者ら約400人にTPP交渉参加の経過について報告した。会場には張りつめた空気が流れ、言葉の応酬によって農業関係者の不信感が増幅、自民党側は何の担保も示さず「しっかりした結果を出したい」と理解を求めるお願いに終始するだけだった。(15日午前、札幌市内で開かれた自民党道連によるTPP懇談会=写真左、報告する西川公也衆議)
西川氏は日米事前協議が合意に至ったことに触れ、「米国には何も取られていない。農業分野では食品添加物のSPSだけ。日本には交渉力があるということ。皆様の意見を反映したからこういう結果になった。分かってください」と述べ、「農産物の重要5品目を守ることと経済力を高めることも一緒にうまくバランスを取りながらやっていきたい」と訴えた。
これに対し、北農中央会の長谷川幸男副会長が「米国による米国のための外交交渉だ。交渉参加を即時撤回すべきだ。西川先生は農業に精通しているし尊敬している。私たちにここで希望と光を与えるように約束してもらいたい」と迫る場面もあった。参加者の怒りは収まらず、「TPP交渉チームに農水省が入っていない。蚊帳の外なのか」、「聞けば聞くほど不信感でいっぱいになる。期待は見事に裏切られた」、「非常に腹立たしい」など発言が相次いだ。
今津氏は「皆様の意見はすごくもっともなこと。私たちも常に同じことを言ってきた。参加阻止に向けて最大の努力をしてしっかりした結果を出したい。皆さんと一緒にやらないとできないと思う」と理解を求めた。
一方、西川氏は「気持ちは分かるが、米国のための交渉というのは言い過ぎだ。我々は日本のためにやっている。その言葉は甘受できない」と述べ、双方の溝が埋めがたく存在することを浮き彫りにした。
会場の質疑応答は30分の予定が1時間近くに及んだが、参加者の多くの声は自民党への不信感に集約され、7月の参院選では自民党支持を見直す覚悟という意見もあった。
最後に今津氏が「我々も道民。期待を裏切るわけがない。一緒に戦ってください。昨年12月の衆院選で勝たせてもらったから今度は我々が恩返しする」と語って閉会した。
自民党道連によるTPP懇談会は、6日から始まり全道9地区で開催、15日で終了したが、今後は交渉経過をその都度報告することを検討するという。