参議院議員選挙まであと3日、道内各地で候補者たちが最後の戦いを繰り広げている。定数2の北海道選挙区では、自民長谷川岳氏と民主徳永エリ氏の優勢が伝えられているが、もう一つの戦いにも注目が集まっている。
それは、中川義雄氏と賢一氏の親子対決だ。義雄氏は参議2期の実績があるものの自民を離党して「たちあがれ日本」の比例に立候補、賢一氏は「みんなの党」から道選挙区に出馬している。直接的に対決することは避けられたものの、2人の票がどれほど伸びるかによって道民のある意味では政治意識を計ることになるからだ。


義雄氏は一次産業団体からの支援で当選した経緯があって、道内政治家の中では一番の農政通。農水相を務めた武部勤衆議や中川昭一氏が居たものの、中川昭一氏無は死去、武部氏も業界団体からはさほど頼りにされていない。
義雄氏は、10年前に道内で発生した口蹄疫事件の時に自民党の総合農政部会長だったため、素早い対策で被害を最小限に抑えたことで業界団体や中央でも農政通として存在感を高めた。
今度の選挙では、自民党を離れたため支援組織はなく、いわば義雄氏の実績がどれだけ票に結び付くかが試されることになる。裸の実力が天下に晒される訳でその意味では義雄氏も思い切った選択をしたといえる。
一方の賢一氏は拓銀―道庁とこのまま勤めれば何不自由しない生活を断ち切っての出馬。賢一氏には組織やカネもなく、あるのは43歳という政治家としての若さと北海道を愛する気持ちだけと言っても良いだろう。
みんなの党という無党派の受け皿なる第三極政党から出馬するのはプラスに作用する。賢一氏への投票は、将来に対する投資という意味合いが強くなる。この人物に賭けるという思いを抱く道民がどれほどいるかを示す選挙だ。
義雄氏は過去の実績に対する信任投票の側面、賢一氏は未来に対する期待投票の側面があるという訳。義雄氏は比例出馬のため一概には言えないが、2人の得票数は開くのか縮むのか、そしてどちらが勝つのか。数字は事実のみを冷徹に表すことになるだろう。そして政治家としての中川ブランドが続くのかどうかも示される。

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