来春の札幌市長選に出馬する札幌市前副市長、秋元克広氏(58)の政経セミナーが10日、札幌市の札幌パークホテルで開催された。労組関係者約1000人、企業や一般から約1300人の合計2300人が参加、用意した席が足らず立ってセミナーを聞く参加者もいた。こうしたセミナーでは付きものの候補者登場BGMや花束贈呈は行われず、地味だが堅実な進行が印象的だった。(写真は、決意を表明する秋元克広氏)
セミナーには、国会議員秘書や道議、市議なども参加したが、「無所属の市民党でやる」(秋元氏)ことを強調している関係から議員紹介や祝電披露は割愛された。
冒頭、後援団体の「さっぽろの未来をつなぐ市民の会」共同代表の加藤欽也・昭和交通社長が挨拶、「札幌市民挙げて応援する候補は秋元さんしかいない。変化の時代の中で市長の職務をするのには苦労があると思うが、市民の声をしっかり聞いて市民とともに札幌市を作っていくという思いがあれば必ず市民の皆さんは付いてくると確信している。支援の輪がもっと広がるようにお願いしたい」と呼びかけた。
続いて、筑豊炭鉱の街、飯塚市出身で北大名誉教授の井上久志氏が「いま、『希望の国』・札幌」をテーマに講演。井上氏は、「私が北大教授として赴任してきた1990年ころ、地域の人たちと意見交換した際に、『誰が改革の担い手か』と聞くと『あいつら』―霞が関や永田町だと。少し理解を示す人は『お前ら』―道庁や市役所、大学教授たちだと。殆ど誰も『私たち』と言わなかった。改革の担い手は3人称、2人称と考える人が多かったが、1人称で考え行動しなければならない時代だ」と持論を展開、「何をどういう方向でやらなければいけないかが見えてきている。一人ひとりが明日に向かって希望を持って生きられるように一致結束して前に向かっていくことが大切」と1人称の総意で改革していくことを促した。井上氏は後援会副代表としても名前を連ねている。
続いて秋元氏が出馬への決意を表明。「全身が熱く震えている。期待に応えて行かなければならない責任の重さに胸がいっぱい」と語ったうえで、「市長になって一番やりたいのは経済雇用対策だ。多くの中小企業が頑張って雇用を生んでいることを第一に考える。地下歩行空間のように民間投資を誘発する再開発などをパッケージで進めたい。子育て、教育、福祉、医療なども大切だが、まず産業経済が成り立つことでそういった分野に力を注いでいくことができると思っている」と出身地夕張の経済が成り立たなくなった経験から経済優先を掲げた。
この席でもあらためて市民党を強調、「地方自治体の仕事は政党、党派、イデオロギーに拘束されることなく多くの市民が何を望むのか、そのことが判断基準。いろんな方から支援を頂くことはあると思うが、市政運営は市民の役に立つのかどうかを判断機銃にして進めたい」と出馬への決意を語り支援を要請した。
最後に後援会共同代表のアークス横山清社長が登壇。横山氏が共同代表に就任してから公の席に顔を出すのは初めて。市長選を巡っては経済界が自民党推薦候補の本間奈々氏(45)への支援と分裂していることを念頭に「私は6月まで道経連副会長をしていたので、ここに立つのはどうかという気持ちもあった。ただ、(共同代表に就くことを)反対したのは家内くらい。東京からは(政治に肩入れすることに)忠告もあったが、80歳を目前にしていろんな体験をしてきた中で、今の札幌には一番適切な人が秋元さんで市長に推戴(すいたい)したい」と支持を訴えていた。
(写真は、支持を訴える後援会共同代表のアークス横山清社長)