第1回定例道議会(一定)が21日に始まり、冒頭に高橋はるみ知事が2013年度の道政執行方針演説を約30分間行った。演説の結びでは知事が道政に臨む心構えを過去の偉人のフレーズなどを引用して道民に分かり易く伝えるのが慣例になっているが、今年引用したのはプロ野球北海道日本ハムファイターズだった。日ハムは今年が札幌移転10年目。知事就任の翌年に当たり知事の思い入れも格別といったところだろうか。(写真は、道議会第一定例道議会で演説する高橋はるみ知事=21日)
 
 今年の執行方針演説は、高橋知事が就任して丸10年の節目を迎えたことや3期目の折り返しということで、気負いもなければ衒いもない淡々としたものだった。「道筋を示す新たな芽は着実に育っている」と北海道新幹線札幌延伸の認可着工や国際航空路線の開設、フード特区の取り組み、北海道米への評価の高まり、再生可能エネルギー、データセンター誘致の広がりなどを列挙したが、知事自身も指摘したように、いずれも芽の段階で花が咲き、道経済に具体的効果が表れてくるのはまだまだ先の話だ。
 
 知事が強調したのは、2013年度を「前進の年」としたことだ。潜在力を形に変える道政を標榜、「大きな発展可能性という心地よい言葉にとどまることなく潜在的な可能性を顕在化させ具体的な形にしていく取り組みを急がなければならない」と述べたが、演説では個々の政策を並べた平板さが目立ち、「前進の年」として具体的行動に言及する場面は見られなかった。
 
 演説の結びで引用したのは、日ハム球団の強さ。日ハムが札幌ドームを本拠地にしたのは2004年で知事が初当選した翌年。過去9年間で4回のリーグ優勝を果たし、日本一に輝いたこともある。知事はその強さの秘訣について「特定のスター選手に頼るのではなく、各選手が互いに信じ合い一人一人が自分の役割をきちんと果たしながら1+1の力を3にも4にもする組織力にある」と述べ、「優勝は1点1点の勝利の先にあり、たとえわずかでも可能性があれば最後の最後まで決してあきらめず戦い抜く粘り強さに学びたい」と日ハムのチーム力と高い目的意識、前進する姿勢を道政運営に取り入れていくことを訴えた。
 
 また、知事は「成功の反対は失敗ではなくチャレンジしないことである」とも語った。日ハムの強さを引用した高橋知事は50歳代最後の1年にどんなチャレンジを見せてくれるのか。


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