道庁本庁舎の耐震工事72億円発注先が10月中に決定、築後43年のハードは免震工法でどれだけ長寿命化できるか

道政

 道庁本庁舎の耐震補強工事の入札が10月中に行われる。耐震基準を満たした庁舎に建て替える場合に比べて改修費用は4分の1以下に抑えられるというが、それでも70億円強の発注額になる。本庁舎は築後43年。耐用年数は50年とされている。「耐震補強によってできる限り長寿命化を目指す」と道は言うが、果たして何年引き延ばすことができるのか。(写真は、道庁本庁舎)

 札幌市中央区北3条西6丁目にある道庁本庁舎が建設されたのは1968年。地下2階、地上12階で延床面積は5万7792㎡。建設主体は伊藤組土建と大成建設だった。

 
 2年ほど前に、耐震基準を満たすための改修診断を受注したのは、本庁舎の設計を担当した久米設計で受注額は道が想定していた5~6000万円を大きく下回る1000万円程度だった。

 
 その久米設計は、庁舎機能を維持しながら耐震工事のできる免震工法と補強工法の2つを提示、道は昨年の第3定例同議会で免震工法の採用を決めていた。

 
 久米設計は、庁舎の給排水などユーティリティを担うエネルギー棟を新設したうえで工事を行う方法を提案していたが、道が大手ゼネコンなどに聞き取りしたところ、エネルギー棟を新設しなくても免震工法は採用できるとして久米設計が提示した90億円の工事費を引き下げた。
さらに設計施工を一括で行うデザインビルド方式を採用して発注コストを抑え最終的に72億円に圧縮した。 

 
 すでに7月に一般競争入札公告を行っており、10月中に入札を実施、11月の第4定例道議会で承認を得て今年度内に基本設計に入り、2013年度に実施設計と本工事に入る。工事期間は3年間で完成は2015年度。

 
 耐震性を高めた新庁舎を建設すると300億円程度が必要とされ、完成するまで代替施設を利用することを想定すると400億円もの経費が必要という。
 それを考えれば、72億円は確かに安い投資になる。しかも、国の防災対策事業債を使えば半分を交付税によって補うことができるため、道の実質的な持ち出しは半分の36億円で済むという。

 
 しかし、ただでさえ道庁本庁舎は狭隘化しており、一般的な耐用年数まであと7年というタンミングでの耐震工事に不安は残る。免震工法によって耐震性は高まり長寿命化が図られるとしても10年、20年のレンジで考えれば果たして安い投資と言えるのかどうか。
 ちなみに、今回の耐震工事受注も本庁舎建設の事業主体だった伊藤組土建、大成建設が有力という声がすでに出ている。

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