道知事選、札幌市長選立候補予定者の「観光政策を聴く会」、観光予算倍増など各候補者が熱弁

道政

 道内の観光業界に携わる事業者らで構成される「北海道観光を考えるみんなの会」は16日、札幌市長選、道知事選の立候補予定者を対象に「観光政策を直接聴く会」を札幌市中央区の札幌市民ホールで開いた。観光面に絞って各候補者の訴えを一問一答方式で聴くもので、会場には約1400人が参加、熱心に耳を傾けた。IMG_3581(写真は、観光政策を直接聴く会に出席した札幌市長選立候補予定者4人)

 会は、前半に札幌市長選立候補予定者4人が登壇し、後半に道知事選立候補予定者2人がそれぞれ登壇する2部構成。いずれもコーディネーターは、北海道新聞の浜田稔経済部長が務めた。
 
 質問は市長選立候補予定者に対して①観光の重要性②課題とその解決策③具体的な観光施策④予算、財源、組織をどうするか――の4問。知事選立候補予定者にはこの4つの質問と⑤将来ビジョンが加えられ、市長選部門は1人4分、知事選部門は1人5分の持ち時間を使って各候補者が順番に要点を述べ、候補者同士の討論はなかった。
 
 市長選立候補予定者の部では、自民党推薦で元総務省自治大学校研究部長の本間奈々氏(45)が「観光振興に積極投資すべきで国の有利な補助制度を利用して地元負担を抑えることが大切。市の組織として観光を一元的に統括して施策を実施する観光プロジェクトチームが必要。現在の観光文化局は経済部局との連携を強めるべき」と述べた。
 民主党、維新の党推薦で前副市長の秋元克広氏(59)は、「2014年度の観光予算は約9億円だったがそれを倍増させる。国の関連予算や入湯税、他の予算の組み替えなどで捻出する。また、北海道としっかり連携して知事と市長のホットラインを構築、観光は北海道全体で考えていく」と訴えた。また、中心部に国際会議場新設も言及した。
 共産党公認で共産党道委員会副委員長の春木智江氏(56)は、「観光予算は2~3倍にする。地元産業の多面的発展とリンクさせて雇用創出を図り札幌の魅力を発信。冬期間のアクセスを改善するため除排雪も強化する」などと語った。
 無所属で元衆議秘書、ベンチャー投資家の飯田佳宏氏(41)は、「入湯税を廃止して1泊200円の宿泊税を導入すると20億円の増収になる。そのうち3割はもしもの時に備えて積み立てておく」と独自策を示した。
 
 続いて、知事選立候補者の部に入ったが、民主党北海道の支持、共産党道委員会、新党大地、社民党道連が支援するフリーキャスターの佐藤のりゆき氏(65)は本人が出席したものの高橋はるみ知事(61)は用務で欠席。代わりに知事後援会相談役で元副知事の我孫子健一氏(83)が代理出席した。
IMG_3600(写真は、道知事立候補予定の佐藤のりゆき氏=左と高橋知事の代理を務めた我孫子健一氏)
 
 佐藤氏は冒頭、「現職が出席されないのは非常に残念」と述べ、代理出席した我孫子氏に向かって「私が知事になったら是非観光担当の副知事になって欲しい」と軽くジャブを放つと、我孫子氏は「現職が出席できず集まっていただいた皆さんや佐藤さんに申し訳ない。ただ、佐藤さんが述べられた私の副知事就任については高齢でもあるのでお断りします」と丁寧ながらしたたかな一面も覗かせた。
 
 佐藤氏は「観光予算を20億円として4年後に来道観光客数を100万人増やし観光消費額を1000億円増やす。外国人観光客ばかりに目が向いているが観光客の9割は本州と道内の観光客。この11年間で本州からの観光客は41万人減少している。私は来なくなった本州からの観光客誘致のため46都府県に先頭に立ってキャンペーンをする。また2次交通のネットワーク化が不可欠で、足りない観光バスの運転手養成に補助も行う」と述べ、観光予算20億円の確保が難しければ1泊100円など観光振興税の導入を考えなければならないと持論を展開した。
 
 我孫子氏は、「2020年に外国人観光客300万人を目指し、食やガーデン街道など新しい観光資源を磨きあげて世界に発信する。新千歳空港の整備や免税店の拡大なども実施して世界にアピールできる広域観光ルートづくりを行う」など高橋知事の観光政策を代弁した。
 
 最後に我孫子氏は、観光予算が他府県より少ないことについて「1950年に北海道開発法ができて経済開発、食料供給のための開発が優先され歴代知事の観光投資が遅れていたのは否めない。これからは観光が中心。責任を持って(予算を)措置する」と語っていた。

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