札幌の今、解体ノート2025年版㉒西区琴似2条1丁目「5588KOTONI(琴似駅前ビル)」

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 マチの新陳代謝は、建物の解体・新築が、大きな要素を占める。見慣れた建物が解体され、新しい建物が建設され、マチは生まれ変わっていく。札幌には今、中心部にも郊外にも、数多くの新陳代謝の姿がある。札幌の今を記録する『札幌の今、解体ノート』の2025年22回目は、西区琴似2条1丁目の「5588KOTONI(琴似駅前ビル)」。(写真は、解体工事が始まった「5588KOTONI(琴似駅前ビル)」)

 JR琴似駅近くの商業ビル「5588KOTONI」は、1976年7月、「イトーヨーカドー琴似店」が入る琴似駅前ビルとして竣工した。当時は国鉄時代で、駅もまだ高架になっていなかった。その後、1993年、隣接地にイトーヨーカ堂系の「エスパ琴似店」が誕生、琴似駅前ビルは、イトーヨーカドーの専門店ビルに衣替えした。2001年になると、「エスパ琴似店」は「イトーヨーカドー琴似店」に業態変更となり、専門店ビルは2003年に閉館。「5588KOTONI」は、その翌年、2004年に営業を開始した。

 ユニークなビル名は、このビルの運営を担っていた日本ユニテックが命名したという。「5」は、財運を高め、「8」は、末広がりを表している。ただ、その日本ユニテックも2011年に破産。ビル所有者の塚本ビル(本社・札幌市中央区)は、「5588KOTONI」の名称をそのまま使って運営してきた。しかし、テナントの撤退などが続き、老朽化も相まって2025年6月30日で閉館。ヨーカドー時代から49年間の営業を閉じた。

 解体工事は、同年8月1日から始まっている。注文者は塚本ビル、解体事業者は本間解体工業(本社・札幌市西区)。解体工事は2026年5月31日まで続く。琴似商店街の賑わいづくりの端緒になった象徴的なビルが、間もなく姿を消す。解体後の跡地利用は、決まっていない。

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