マチの新陳代謝は、建物の解体・新築が、大きな要素を占める。見慣れた建物が解体され、新しい建物が建設され、マチは生まれ変わっていく。札幌には今、中心部にも郊外にも、数多くの新陳代謝の姿がある。札幌の今を記録する『札幌の今、解体ノート』の2025年18回目は、豊平区月寒中央通10丁目の「月寒中央壺屋ビル」。(写真は、「月寒中央壺屋ビル」の解体工事現場)
(写真は、裏通り側から見た「月寒中央壺屋ビル」解体工事)
国道36号線沿いにあった「月寒中央壺屋ビル」は、昭和の面影を残す、いわゆる下駄履き住宅だった。低層階が店舗や事務所、高層階が共同住宅で、今では段々と数が少なくなってきたビルの一つだった。竣工は1974年7月、鉄筋コンクリート造、7階建て、延べ床面積は約1986坪(6555・2㎡)。国道側から裏通りまでには段差があるため、国道側の1階は2階部分に当たり、1階~2階が店舗・事務所、3階から上が共同住宅になっていた。国道側から階段を下がると「プラザ味の名店街」があって、昭和感をより引き立てていた。
竣工時は、札幌の和洋菓子製造販売、壺屋が建設したようだが、その後、土地建物は日本住宅公団(後に独立行政法人都市再生機構)になり、2018年10月、売買によって所有権は菅原企画(札幌市豊平区)に移っている。解体工事は、2025年3月1日から始まっていた。工期は2026年2月28日までとなっているが、現在、建物はほぼ解体されている。工事の発注者は菅原企画、解体業者はシンヨウ(札幌市東区)。
土地面積は600坪(約1980㎡)程度とみられ、間口が比較的狭く、奥行きがある長方形の形状をしている。用途地域は商業地域で建ぺい率80%、容積率400%、60m高度地区。竣工から半世紀近くにわたった「月寒中央壺屋ビル」の歴史は、次の時代へとバトンが渡る。