「北海道リートフォーラムVOL.1」開催、不動産流動化を活用したまちづくり

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 北海道リート投資法人の資産運用会社、北海道アセットマネジメント(本社・札幌市中央区)の主催で「北海道リートフォーラムVOL.1」が2024年9月13日、札幌市中央区の札幌証券取引所2階会議室で開催された。「NoMaps2024」との連携事業で約90人が出席、「まちづくり×北海道リート」をテーマに、講演やトークセッションが行われた。(写真は、90人が集まって開催された「北海道リートフォーラムVOL.1」)

 今回のフォーラムは、今年2月から事業を開始した北海道リート投資法人の事業目的と展開状況を幅広く知ってもらうのが狙い。最初に、北海道アセットマネジメントの濱野恭義代表取締役が、「次世代のまちづくりのための北海道リート」と題して講演した。

 濱野氏は、2018年に、三菱UFJ銀行札幌支店長に赴任、引き継ぎのために全道を回る中で、北海道のポテンシャルの高さを実感。「地域に役立つ金融という視点を絶えず意識していたので、北海道のポテンシャルを実現して、地元に利益を循環させていく手立てとしてリートに着目した」と話し、退職後の2022年7月、地元企業を中心とした20社を株主として北海道アセットマネジメントを設立した。

 機関投資家を対象にした私募リートの運用開始から半年が経過し、株主20社以外の地元企業からから不動産流動化、証券化の相談を多く受けているほか、10以上の自治体から公共不動産の活用についての相談があることを明らかにし、「北海道の情報の交差点のような会社にしていきたい。幅広い情報がハブのように集まり、繋がっていくような展開を目指したい」と述べた。
 そのうえで、「事業経営に不動産証券化が果たす役割は大きくなっている。半導体やGXなど、北海道に大きな波が来ている状況をとらえ、幅広く利益を地域に循環させていくためのインフラとして北海道リート投資法人、北海道アセットマネジメントを機能させていきたい」と結んだ。

(写真は、トークセッションの様子)

 続いて、山重明北海道アセットマネジメント企画開発委員長がモデレーターになって、「不動産流動化を活用したまちづくり」をテーマにトークセッションが行われた。三菱UFJモルガン・スタンレー証券投資銀行本部不動産グループの土岐好隆シニアIBDアドバイザーは、「リート投資法人には大手スポンサーがいるものだが、北海道リート投資法人は地域の20社が株主になっている協同型。(北海道に来ている大きな波を捉えて)大きくなってほしい」と話した。

 札幌市まちづくり政策局の浅村晋彦局長は、「中心部では今後、資金力の乏しいビルオーナーの建て替えニーズが出てくる。北海道リートは建て替えの後押しになる」と期待感を示した。コンパクトシティの田宮功三代表取締役は、人口3000人の浜頓別町でSPC(特別目的会社)を設立、賃貸住宅を建設したことを紹介し、「当時、浜頓別には賃貸住宅がなく、転勤続間の住む家がなかった。着工した段階で、借りたいという声が数多く寄せられた。人口の少ない地方の切実なニーズを解決する手法として、SPCは有効」と話した。

 土岐氏は、GXに関して、「蓄電池の建屋やデータセンターの建屋は、リートとの親和性が高いのではないか」と述べた。北海道アセットマネジメントは、今後も毎年9月のNoMaps期間中に、こうしたフォーラムを開催していく考え。

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