マチの新陳代謝は、建物の解体・新築が大きな要素を占める。見慣れた建物が解体され、新しい建物が建設され、マチは生まれ変わっていく。 札幌には今、中心部にも郊外にも数多くの新陳代謝の姿がある。札幌の今を記録する『札幌の今、解体ノート』の2024年9回目は、西区二十四軒3条7丁目の旧「MOT琴似店」。(写真は、解体が進んでいる旧「MOT琴似店」)
幹線道路から外れた生活道路の中を何度か曲がって辿り着いたのが、旧「MOT琴似店」の解体現場。多層階の建物のスペースを使って、北海道中央バス(本社・小樽市)がスーパー「MOT」(北海道中央バス商事が運営)をオープンさせたのは1983年7月。西友との業務提携も行うなど、多店舗展開を目指していたようだが、現在、その名前は過去のものになっている。
読者から寄せられた情報では、北海道中央バス商事の運営による「MOT」は1998年2月で終了し、黒潮市場が引き継いで、1998年5月から9月まで「MOT黒潮市場」となり、同年9月以降は、首都圏スーパーを展開していたフレックが「MOT」を運営、2004年頃まで続いたという。その後は、ジンギス汗・焼肉の「北海道料理宮之森」が2019年まで入っていたが、同店は移転、以降は、空き店舗になっていた。
そんなスーパーのサイドストーリーが詰まった旧「MOT琴似店」の解体工事は、2024年7月22日から始まった。注文者は、土地建物を所有している北海道中央バス、解体を行っているのは、同グループの泰進建設(本社・札幌市中央区)。解体は、同年11月30日まで続く。「MOT」や「黒潮市場」は、現在のスーパー3極構造が出来る前の玉石混交時代を彩ったスーパー。旧「MOT琴似店」の解体によって、これらスーパーの記憶がさらに遠ざかる。