マチの新陳代謝は、建物の解体・新築が大きな要素を占める。見慣れた建物が解体され、新しい建物が建設され、マチは生まれ変わっていく。札幌には今、中心部にも郊外にも数多くの新陳代謝の姿がある。札幌の今を記録する『札幌の今、解体ノート』の2024年の1回目は、中央区南5条西1丁目の「豊水SS・塚本パーキング」。(写真は、解体工事に入っている「豊水SS・塚本パーキング」)
南5条通と西2丁目通の交差点北東角にあるのが、「豊水SS・塚本パーキング」。向かい側の南5条西2丁目では、2021年9月に「すすきのグランベルホテル」、翌2022年9月には「相鉄フレッサイン札幌すすきの」が相次いでオープン。2つのホテルによって界隈の様子は大きく変わった。そんな変化の中で、目立たず街の風景に溶け込んでいたのが、この「豊水SS・塚本パーキング」だった。
道行く人が気にも留めないような建物が、人目を引きつけるようになったのは、解体工事が始まったから。この建物が建設されたのは、1990年代の初頭。当時の塚本産業(本社・東京都中央区)が土地建物を所有していたが、その後、旧北海道拓殖銀行によって競売に付され、1999年にカンエイ実業(同・札幌市中央区)が取得。以降、四半世紀にわたって動きはなかったが、2023年12月、マンションデベロッパーの明和地所(同・東京都渋谷区)が条件付きで土地建物所有権を仮登記。2024年2月にはこれを登記に移した。
解体工事は、同年3月4日から始まっている。注文者は明和地所、解体工事を行っているのは、本間解体工業(同・札幌市西区)、工期は同年4月30日までとなっている。敷地面積は、周辺も含めると300坪ほどになり、マンション開発が視野に入る。動きがなかった30数年間の街角が変わり始めた。