マチの新陳代謝は、建物の解体・新築が大きな要素を占める。見慣れた建物が解体され、新しい建物が建設され、マチは生まれ変わっていく。札幌には今、中心部にも郊外にも数多くの新陳代謝の姿がある。札幌の今を記録する『札幌の今、解体ノート』の2023年の10回目は、中央区南6条西1丁目の「北海道電力ネットワーク薄野変電所旧本館」。(写真は、解体工事が進んでいる「北海道電力ネットワーク薄野変電所旧本館」)

 マチの中にあって大切な役割を果たしていても、ほとんどの人がそれと気づかないのが変電所。送電線の電圧を下げて一般利用できるようにする役割を持っており、札幌中心部では札幌中央、南3条、大通、南9条、薄野などに変電所がある。「薄野変電所」は、ススキノ地区に電力を供給するため、1967年に設置された。その後、札幌地下鉄東豊線が開通し、同変電所に隣接して「札幌交通局高速電車すすきの変電所」も設置され、この界隈は変電所ゾーンとも言える場所になっている。

 北海道電力ネットワーク(本社・札幌市中央区、当時は北海道電力)は、その「薄野変電所」が老朽化したことを受け、2020年に、同じ南6条西1丁目に新変電所を新築稼働させ、同年から旧変電所施設の除却工事を始めている。そのうちの旧本館の解体工事は、2023年6月から始まった。解体工事を行っているのは、新築された「薄野変電所」の建設を行ったJVの1社、中山組(本社・札幌市東区)で、工期は2024年1月18日までとなっている。ススキノ地区に50数年間にわたって電気を供給してきた旧「薄野変電所」が、静かに姿を消そうとしている。


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